研究実績の概要 |
本研究においては、麻酔に影響を受ける概日時計、影響の受けない概日時計を想定している。初年度は脳内の4組織(視交叉上核(suprachiasmatic nucleus: SCN)、第四脳室脈絡叢(choroid plexus in 4th ventricle: CP-4V)、側脳室脈絡叢(choroid plexus in lateral ventricle: CP-LV)、松果体(pineal gland: PG) )のもつ概日時計に注目しcharacterizeを行った。 ①4組織は時計遺伝子Per1, Per2, Bmal1の発現は概日リズムを示した。PGにおける各時計遺伝子の発現リズムは、SCN, CL-4V, CL-LVと比べ大きく位相がずれていた。 ②SCN, CL-4V, CL-LV, PGの培養下での概日リズムの周期は、それぞれ25時間、22.5時間、22.5時間、24時間を示した。培養下で組織固有の周期に安定するまでの日数は組織により異なった。 今回用いたPer2::dLuc Tgラットの自由継続する行動リズムは24時間である。脳内において位相、周期の異なる複数の概日時計群の相互作用により安定した24時間周期のリズムが形成されることが示唆された。 ③脳脊髄液分泌に概日リズムが報告されている。CP-4V, CP-LVでは水チャネルaquaporin1を介して脳脊髄液を産生することが想定される。aquaporin1発現の概日リズムを期待したが、qPCR、免疫組織化学では発現分布、発現強度には日内変化は認められなかった。
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