炎症応答において免疫細胞のエネルギー代謝様式の転換(リプログラミング)が起こることが報告され、炎症の制御メカニズムとして細胞内代謝調節の重要性に注目が集まっている。 自然免疫細胞の活性化に伴う代謝変容の分子機構を明らかにするため、遺伝子発現プロファイルの変化および代謝フラックスの観点から解析を行った。LPS/IFN-γの投与によりマクロファージ様細胞株に代謝リプログラミングを誘導し、RNA-Seq解析にて炎症応答およびエネルギ-代謝様式のシフトに伴う遺伝子プロファイルの変動に関するデータセットを得た。炎症経路の活性化に加え、炎症性マクロファージの分化マーカーの誘導、増殖・生存制御に関わる細胞内経路の変容が観察された。また代謝リプログラミングによる酸素消費量の低下および解糖活性の上昇について、リアルタイムフラックス解析により経時的な代謝変動のモニタリングを行った。炎症刺激直後に解糖活性の上昇が起こり、その後約3時間にわたって維持された。刺激後約3時間後から酸素消費量が徐々に低下する現象が確認されたが、それに伴い解糖活性の速やかな再活性化が誘導されることが明らかとなった。
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