研究課題/領域番号 |
19K09348
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
栗田 忠代士 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (80303569)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近赤外分光法 / 脊髄酸素化 / 脳酸素化 |
研究実績の概要 |
今年度は血圧変化に反応する脊髄の酸素化の変化を近赤外分光法(NIRS)で測定し、脊髄のオートレギュレーションを脳と比較した。 <動物準備>体重35kgのブタ10匹を用いた。イソフルランで麻酔を維持した。右大腿動脈に動脈圧ライン、右内頚静脈に肺動脈カテーテルと中心静脈カテーテルを留置し、ブタを腹臥位にしてNIRSプローベを頭皮をはがした頭頂部、また胸部および腰部脊椎を椎弓切除し脊髄までの距離が約2cmになるように露出し、それぞれ胸部および腰部脊髄にNIRSプローベを装着した。 <実験手順>フェニレフリンを0.5、1、2、5γをそれぞれ10分間投与し、次にニトロプルシド(SNP)を0.5、1、2、5γをそれぞれ10分間投与した(正常状態)。次に600 mlの血液を動脈圧ラインより脱血し、急性出血による低循環血液量状態を作成後、フェニレフリンを正常状態と同様に投与した(低循環血液量状態)。SNPは致死的低血圧に陥るためこの低循環血液量状態では投与しなかった。さらに脱血等量の600 mlのヒドロキシエチルスターチを投与し、急性出血に対する輸液蘇生後の血液希釈状態を作成、フェニレフリンとSNPを同様に投与した(血液希釈状態)。 <結果>胸部、腰部脊髄の酸素化指標(TOI)は脳よりそれぞれ15%、10%低かった。脳脊髄ともにオートレギュレーションパターンを示したが、脊髄は脳より圧依存性であった。600mlの出血によっても、どちらのTOIも5%未満の低下にとどまり、輸液蘇生による影響もほとんどなかった。 <結論>脊髄は脳と比較するとオートレギュレーションが弱く、圧依存性であった。しかしどちらも循環血液量の変化に許容力があり、循環血液量の変化に対する酸素化の変化は最小限であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の結果は結果を解析し、論文作成終了、すでに掲載済みである。 最終年度予定の肝臓のオートレギュレーションの研究にとりかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、最終年度の肝臓のオートレギュレーションを行っていくが、それ以外の臓器(胃、筋肉)も可能であれば、同時に測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに実験は遂行できていたが、新型コロナウィルスによる影響で、多少実験ができない時期があった。次年度に使用する額が生じた。
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