研究課題/領域番号 |
19K09352
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田中 克哉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30263841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近赤外線光 / 心筋虚血 / 吸入麻酔薬 / イソフルラン / 虚血再灌流 |
研究実績の概要 |
最初は、ウサギの心筋虚血再灌流モデルに近赤外線光を照射して心筋保護効果が得られるかどうか、また、その作用機序について解明する計画であった。2019年度、近赤外線光を照射する装置を探し求めていたが、個体の動物に照射する装置が見つけることができず、多くの時間が割かれた。実験方法をin vivoからin vitroへ変更する方針して、in vitroでの実験に変更する方針にした。2020年度はラットの心筋細胞を取り出し、心筋細胞を培養し、そこに近赤外線光を照射し、近赤外線光の波長の違いで心筋細胞の細胞死の割合を測定することを目的とした。 現在、予備実験では940nmの近赤外線光を照射した細胞と照射していない細胞で細胞死に変化があるかどうかについて実験を行った。残念ながら近赤外線光を照射した心筋細胞と照射していない細胞の間で細胞死に差がないという結果になっている。その原因として、近赤外線光の照度が低いことが影響している可能性があり、今年度はもう一度近赤外線光の照射装置の探索または開発が必要な状況である。さらに、in vitroの実験で心筋虚血再灌流モデルがうまく機能していない可能性も考えられた。もう一度、in vitroの実験プロトコルを練り直す必要を感じている。さらに、正直に言うと、2020年度はCovid-19蔓延の影響を受けて研究に当てる時間が例年より少なかったことも研究自体の進行が遅れた原因と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋細胞に940nmの近赤外光を照射して、培養液の酸素を一時的に除去することで虚血再灌流状態を疑似的に作成して非照射の心筋細胞と比べて細胞死の割合を比較した。しかし、両者に有意な差は認めなかった。この原因として今回使用した照射装置が十分な照度を有していない可能性がある。また、培養液を酸素を除去したものに交換することで虚血状態を作成するが、培養細胞では固体の心臓と異なり低酸素に耐性があるので、実験モデルが虚血再灌流を表現できていない可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究方針は昨年度にin vivoからin vitroに変更したが、今年度もそれを継続する。近赤外線照射装置がなかなか見つからず、現在、美容の分野で使用されている近赤外線照射装置を数社に問い合わせてその性能を確認している段階である。また、実験プロトコルの改良も必要なので、過去の文献を検索しているところである。今年度は実験プロトコルを立ち上げて実験自体を飛躍させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス蔓延のため、海外学会および国内学会がWEB開催となった。そのため、それに伴う旅費の費用が発生しなかったので、次年度使用額が生じた。次年度申請額と合わせて試薬、動物費用に使用する予定である。
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