DOAC(direct oral anticoagulant)においては、効果を判断する指標がなく、未だにモニタリングが確立されておらず、モニタリングは必要ないともいわれている。一方、抗血小板薬についても継続中あるいは休薬後の薬物動態を確認する手段がない。薬物動態は個々人で異なり、循環器疾患を合併した高齢者に対しては、腎機能の低下も考慮して、更なる注意が必要となるだろう。そこで、抗血小板薬およびDOAC内服継続および中止された65歳以上の高齢者の質的凝固機能および血小板機能を当日の手術前と術直後の2回測定し、血液凝固機能および血小板機能測定のスタンダード化を目指す目的で研究を施行した。TEG6s(ヘモネティクスジャパン、東京)を使用し、抗血小板薬には、プレートレットマッピング法の血液シートを使用して血小板機能の変化を観察した。DOACでは、グローバルヘモスターシス法の血液注入シートを使用して、凝固特性の変化を観察した。 結果、手術前に血小板機能異常を示した患者のうち、クロピドグレルを5-7日間中止した患者が6症例、バイアスピリンとプラビックスを6日間中止した患者が1症例、バイアスピリンを7日間中止した患者が6症例を認めた。別途、術後の血小板異常を認めた患者が22症例認めた。 一方、手術前に凝固機能異常を示した患者のうち、リバーロキサバンを1-4日間止めた患者が4症例、エドキサバンを1ー3日間止めた患者が2名、アピキサバンを1日間止めた患者が2症例を認めた。別途、術後の血液凝固異常を認めた患者が8症例認めた。
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