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2021 年度 実施状況報告書

ヒドロキシエチルデンプンによるグリコカリックス崩壊に対する血管収縮薬の軽減効果

研究課題

研究課題/領域番号 19K09363
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

多田羅 恒雄  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードヒアルロン酸 / ずり / ヒドロキシエチルスターチ
研究実績の概要

【ヒドロキシエチルデンプン製剤がずり応力によるヒアルロン酸分解におよぼす影響】
<目的> ヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤は、細胞間質の構成成分であるヒアルロン酸と水素結合することにより、ずり応力によるヒアルロン酸分解を抑制する可能性がある。今回、ずり負荷下のアルロン酸の粘度を経時的に測定することによりこの可能性を検証した。 <方法> 生理食塩水または1%, 2%, 3% HESを溶媒として0.1%ヒアルロン酸溶液を作成した。粘弾性測定装置を用いて、同溶液にずり(ずり速度 200/s)を与えた時の同溶液の粘度を3分おきに20時間連続測定した。測定温度は、37Cとした。測定開始時の粘度を基準として、各測定時の相対的粘度を算出した。測定終了時の相対的粘度を異なる溶媒(生理食塩水、1%, 2%, 3% HES)間で統計学的手法を用いて比較した。
<結果> 1. 0.1%ヒアルロン酸溶液の粘度は、生理食塩水、1%HESでは、徐々に低下したのに対し、2%, 3%HESでは徐々に上昇した。 2. 生理食塩水、1%, 2%, 3% HESにおける測定終了時(ずり開始20時間後)の相対的粘度は、それぞれ、0.76±0.10 (n=8), 0.87±0.09 (n=8), 1.11±0.08 (n=4), 1.53±0.09 (n=4)であった。 3. これらの相対的粘度は、異なった溶媒間で有意な差をしめし(p <0.05)、生理食塩水 < 1%HES < 2%HES <3% HESであった。 <考察> 本結果は、HESが、ずり応力によるヒアルロン酸分解を抑制することを示している。この作用は、HESがヒアルロン酸と水素結合することによりヒアルロン酸の構造を強めることにより説明できる。この結果は、生体においてHESが血管内皮細胞表面のゲル構造に及ぼす影響を考える上で重要な手がかりとなる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたヒドロキシエチルデンプン製剤が高分子ゲル構造におよぼす影響を調べることができた。

今後の研究の推進方策

今後、ヒドロキシエチルデンプン製剤がヒアルロン酸構造におよぼす作用が生体内でどのように反映されるかを調べる予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験結果を得るのに必要な測定サンプル数が当初の予想より少なかったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、次年度の消耗品(試薬など)の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] グリコカリックスからみた輸液の生理学2022

    • 著者名/発表者名
      多田羅 恒雄
    • 学会等名
      第49回日本集中治療医学会学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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