現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OPGは破骨細胞の分化を抑制する働きがある。PGF2αは骨芽細胞のOPG遊離を促進することがわかっているが、この機構において各種鎮痛薬がどのような影響を与えるか検討した。トラマドールとモルヒネはPGF2αによるSAPK/JNK、p38 MAP kinaseの活性化を増強したが、Rho kinase, p44/p42 MAP kinaseの活性化に影響しなかった。以上より、トラマドールはオピオイド受容体を介してSAPK/JNK, p38 MAP kinaseを活性化し、PGF2αによるOPG合成を促進していることがわかった。 次に、アセトアミノフェンに関する検討を行った。PGF2α、PGE2は骨芽細胞においてp38 MAP kinase, SAPK/JNK, p44/p42 MAP kinaseの活性化を介してOPG遊離を増強するが、アセトアミノフェンはこの増強作用を抑制した。PGF2α、PGE2によるSAPK/JNKの活性化を抑制し、p38 MAP kinase, p44/p42 MAP kinaseの活性化に影響を与えなかった。アセトアミノフェンはPGF2α、PGE2によるOPG遊離を、SAPK/JNKを介して抑制していることがわかった。 さらに、BMP-4は骨芽細胞においてS6 kinase, SMAD1/5/8の活性化を介してOPG遊離を増強させる。この機構におけるデュロキセチンの影響を検討した。デュロキセチンで前処置後にBMP-4でMC3T3-E1細胞を刺激するとOPG遊離が抑制された。BMP-4によるSMAD1/5/8の活性化を抑制し、S6 kinaseの活性化には影響を与えなかった。以上よりデュロキセチンはBMP-4によるOPG遊離をSMAD1/5/8を介して抑制していることがわかった。
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