研究課題/領域番号 |
19K09371
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
御室 総一郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90464114)
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研究分担者 |
中島 芳樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00252198)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血管内皮グリコカリックス / 水素 |
研究実績の概要 |
水素吸入が出血性ショックにおいて生存時間を延長することが動物実験で報告されたが、機序は不明である。また近年注目されている血管内皮グリコカリックス(Endothelial glycocalyx: EGCX)は、血管透過性をはじめとした血管内皮機能を司り、その損傷は予後に影響すると報告されている。我々は水素吸入がEGCXを保護することで生存率を延長すると仮説を検証した。SDラットを使用し、(a)ショック無し室内気群(Room-NS)(b)ショック無し1.2%水素群(H21.2%-NS)、(c)出血性ショック室内気群(Control-S)、(d)出血性ショック1.2%水素群(H21.2%-S)、(e)出血性ショック3%水素群(H23.0%-S)の5群を作成した。実験はイソフルランによる全身麻酔下に行った。出血性ショックは、脱血により平均動脈圧が30-35 mmHgとなる状態を1時間維持した。ショック後は脱血した血液の4倍量の生理食塩水を輸液して蘇生した。[結果1]シンデカン-1値はControl-S群(27.9 ± 17.0 ng/ml)と比べてH21.2%-S群(8.3 ± 6.6 ng/ml; P=0.01; 95%信頼区間, 3.2-35.8)で有意に低かった。心筋EGCXの厚みはControl-S群(0.06 ± 0.02 μm)と比べてH21.2%-S群(0.15 ± 0.02 μm; P=0.007; 95%信頼区間, 0.02-0.2)で有意に厚かった。[結果2]生存時間はControl-S群(246 ± 69 分)と比べてH21.2%-S群(327 ± 67 分 P=0.0160)で有意に長かった。1.2%水素吸入はラット出血性ショックモデルにおいてEGCXを保護し、クレアチニンの上昇を抑制し、生存時間が延長した。3%水素吸入ではこれらは認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナによる業務過多により、研究は進んでいなかったが、なんとか実験が可能になってきた。メカニズムの研究を行っているが、順調になってきた
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今後の研究の推進方策 |
水素投与によるメカニズムの研究を追加で行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる業務過多により、研究がすすまなかったが、なんとかメカニズムの研究を開始することができたため
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