研究課題/領域番号 |
19K09375
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
東島 潮 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20380909)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オートファジー / プレセデックス / 心筋保護効果 |
研究実績の概要 |
近年、デクスメデトミジン(DEX)の術中投与により心臓外科術後患者の合併症発生率や死亡率が低下したことが報告された。基礎実験においてもDEXは虚血再灌流障害から心臓をはじめ様々な臓器を保護することがこれまでに報告されているが、今回これらのメカニズムとしてオートファジーに着目した。オートファジーは生体の恒常性を維持するために必要な自己蛋白分解システムであるが、過剰なオートファジー亢進は細胞死に繋がり、臓器障害の一因となる。虚血心筋におけるオートファジーの活性やDEX投与がオートファジー活性に及ぼす影響はいまだ不明である。虚血急性期のオートファジー活性を経時的に捉え、心臓血管外科周術期の至適なDEX投与法を解明することが本研究の目的である。研究計画では次の4テーマを掲げ実験を開始した。①ラットの虚血再灌流モデルにおけるオートファジー関連蛋白(Beclin1、p62、LC3BⅡ)の発現と経時的変化(sham群vs 虚血群)の評価②DEXの心筋保護効果とオートファジーの関連の検討③DEXの投与開始時期が心筋保護効果に及ぼす影響④心筋保護効果における吸入麻酔薬とDEXの併用効果とオートファジー制御への影響
2020年度は、心筋サンプルを採取することに注力した。テーマ①の虚血群、②の虚血前DEX投与群、③の虚血後DEX投与群の心筋サンプルを採取した。心筋虚血はいずれも左前下行枝を30分間結紮委しその後120分間の再灌流を行った。その後再度左前下行枝を結紮し、青色の色素を左心耳より投与し虚血領域を同定したうえで、-80度で凍結保存を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で、業者の出入りが制限をされ購入した機材の説明を受けることが出来ず、実験環境の確立に予想以上に時間がかかってしまった。また、臨床でコロナ感染対策に従事せざるを得なくなり、基礎実験に分配できる時間が大幅に減少してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、採取した心筋サンプルの蛋白解析に注力することになる。オートファジー関連蛋白(Beclin1,p62,LC3BII)について検討を行う。蛋白の抽出は外注業者に委託することにより時間短縮を進めつつ、結果を考慮し追加実験等の必要性について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で実験計画が遅れており、蛋白解析に使用する予定であった試薬の発注を行っていないため、次年度使用額が生じた。実施予定だったウエスタンブロッティングによる蛋白解析を次年度に実施するため、必要な一次抗体を購入する予定である。
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