神経障害性疼痛に代表される慢性疼痛は既存の治療法では十分な鎮痛が得られず,新規治療法の確立が急務である.妊娠そのものが慢性疼痛患者の痛みを和らげる事象は“妊娠鎮痛”と呼ばれており,性ホルモン以外の機序が関与することが明らかになっている.本研究の結果から,前帯状皮質のδオピオイド受容体の増加が妊娠鎮痛の機序の一端を担う可能性が示唆された.本研究は,既存の治療法とは全く異なる妊娠鎮痛の機序を介した神経障害性疼痛の新規治療戦略を提案するものであり,神経障害性疼痛患者の痛み治療の開発を発展させるため,社会に果たす意義は大きいと考える.
|