研究課題/領域番号 |
19K09382
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
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研究分担者 |
堀下 貴文 産業医科大学, 医学部, 教授 (40369070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 麻酔薬 / 電位依存性Na+チャネル / 鎮痛薬 / オピドイド受容体 / G蛋白共役型受容体 / アフリカツメガエル卵母細胞発現 / 培養脊椎後根神経節細胞 / TRP |
研究実績の概要 |
G蛋白共役型受容体(GPCR)は中枢神経に多く存在し、麻酔、鎮痛機序に関係していることが示唆されている。一方、イオンチャネルも麻酔・鎮痛機序において極めて重要な機能を果たすが、電位依存性Na+チャネル(Navチャネル)への麻酔薬、鎮痛薬の影響は十分に知られていない。最近、Navチャネル1.7(Nav1.7)が欠損すると生涯にわたる内因性の痛覚消失が引き起こされるという報告がなされ、Navチャネルとオピオイドの疼痛機序における関係性が注目されている。Navチャネルが麻酔薬で影響されるのか、またオピオイドと相互作用があるのか、またこの相互作用が麻酔機序にどのように関係しているかを解明することは非常に興味深い。本研究ではNav1.7とμオピドイド受容体(μOR)への麻酔薬・鎮痛薬の作用を培養脊椎後根神経節細胞とアフリカツメガエル卵母細胞発現系で解析する。さらに、Nav1.7とμORの相互作用に対する麻酔薬、鎮痛薬の影響を明らかにしそのメカニズムを解明することを本研究の目標としている。 今年度はアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対する麻酔薬、鎮痛薬の作用解析を行い、吸入麻酔薬が抑制をすることをことを確認できおている。今は、本研究を継続して他の麻酔薬についても検討中である。さらに、Nav1.7に対するオピドイドの直接解析を行っている。本研究の実験経過の中でCarvacrolのNaVに対する抑制効果やTRPV3 についても研究を行い、局所麻酔薬が抑制する治験を得ることができた。今後は、さらにいままでの計画を遂行していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対する麻酔薬、鎮痛薬の作用解析、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対するオピドイドの直接解析、Nav1.7とμORの相互作用解析を計画としていた。 アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いてDRG細胞に発現しているNav1.7に対しての麻酔薬の作用を解析し、抑制効果を認める知見を得ている。麻酔薬だけではなく、不整脈に対する薬剤についても予備実験で影響を確認している。さらにアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いてNav1.7に対しての DAMGOの直接作用を解析を行なっている。Nav1.7を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞をDAMGOで刺激してNav1.7の電位変化に対するNa電流を観察しているが、コロナ感染症拡大の影響で実験室使用や勤務時間等が制限されていること、東京と北九州との行き来が制限され、実験が進展があまり得られなかった。さらに、アフリカツメガエル卵母細胞にNav1.7とμORを同時に発現させ、DAMGOにて刺激している時のNav1.7の状態を解析する実験についても、リン酸化酵素が関与しているかどうか、阻害薬を用いて解析することも急ぎ検討したいと考えている。しかし、これら遅延の影響の中、CarvacrolがNavに作用していることなどの検討や、麻酔薬とTRPV3 についても研究を行い、局所麻酔薬が抑制する治験を得ることができており、今は他の麻酔薬の効果も検討中である。令和3年度には、コロナ感染症の感染状況にもよるが、共同研究を推進していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は昨年度の遅れを取り戻し、本年度は、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対する麻酔薬、鎮痛薬の作用解析、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対するオピドイドの直接解析、Nav1.7とμ0ORの相析を計画をさらに進める予定である。 また、培養DRG細胞を用いたNavチャネルへのオピオイド直接作用解析を行うために昨年移設したパッチクランプのセットを用いて培養脊椎後根神経節細胞を灌流させた小水槽内で保持し、室温下でホールセル記録を行い、DANGOを投与してNavチャネルに対する影響を測定する予定である。移設までは成功しているが、技術的な指導を共同研究するはずであったがなかなか、往来が制限され難しかったが、今年度は培養DRG細胞を用いたオピオイド処置後の麻酔薬、鎮痛薬のNavチャネルへ作用解析への発展を進める予定である。 Navチャネルへのオピオイド直接作用解析だけではなくTRPVに対しても同様の効果があるのかなど、実験経過で興味ある成果も得られている。今年は可能なら、TRPVに対するオピオイドの効果なども検討を続けて行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後は昨年度の遅れを取り戻し、本年度は、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対する麻酔薬、鎮痛薬の作用解析、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたNav1.7に対するオピドイドの直接解析、Nav1.7とμ0ORの相析を計画をさらに進める予定である。 また、培養DRG細胞を用いたNavチャネルへのオピオイド直接作用解析を行うために昨年移設したパッチクランプのセットを用いて培養脊椎後根神経節細胞を灌流させた小水槽内で保持し、室温下でホールセル記録を行い、DANGOを投与してNavチャネルに対する影響を測定する予定である。移設までは成功しているが、技術的な指導を共同研究するはずであったがなかなか、往来が制限され難しかったが、今年度は培養DRG細胞を用いたオピオイド処置後の麻酔薬、鎮痛薬のNavチャネルへ作用解析への発展を進める予定である。 Navチャネルへのオピオイド直接作用解析だけではなくTRPVに対しても同様の効果があるのかなど、実験経過で興味ある成果も得られている。今年は可能なら、TRPVに対するオピオイドの効果なども検討を続けて行きたいと考えている。
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