研究課題/領域番号 |
19K09385
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
林 和子 明治国際医療大学, 臨床医学講座, 客員講師 (40285276)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 複雑系 / 非線形解析 / 状態空間 / リアプノフ指数 / エントロピー / 麻酔深度 |
研究実績の概要 |
ポワンカレプロット解析は、信号の二次状態空間における履歴効果から秩序性を検討する複雑系システムの挙動把握法である。この解析法を脳波に応用して、複雑系システムである脳神経活動の履歴効果からその秩序性を定量解析することで、統一的な麻酔深度測定法を確立する研究を施行してきた。麻酔効果が深まるにつれて、脳神経ネットワーク活動の履歴が浅くなり複雑性が喪失し、過去の信号履歴が今現在の信号に対し主に線形に作用して系がより線形系に近づく。それが、ポアンカレプロット解析において、麻酔効果として反映される。研究開始以来、このポワンカレプロット解析の課題、つまり、筋電図による干渉や、高齢者における適応、更に、作用機序の異なる薬物に関する検討を行ってきた。 本年度は、2次元の状態空間に反映しきれない可能性のある複雑性の要素を、どのように脳波ポワンカレプロット解析に取り入れてゆくかを模索した。脳神経動態の複雑性定量化が、どのように2次元状態空間上のポワンカレプロット解析に反映されうるかを検討するため、セボフルラン麻酔中の脳波データを、高濃度セボフルラン吸入下と、低濃度セボフルラン吸入下の2段階の麻酔深度において解析した。解析は、カオス解析(リアプノフ指数)とエントロピー解析を用いた。 その結果、深麻酔(セボフルラン高濃度)では、秩序性が増し、脳波のエントロピーは低下する一方で、脳波のカオス性が増大する(リアプノフ指数が増大)結果が得られた。一般に、秩序性が増加し、エントロピーが低下すると、カオス性は低下すると思われ、一見、矛盾するように見える結果であった。カオスや複雑性の定義や理解は単純でなく、更なる考察と検討が必要と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳神経動態の複雑性定量化を、セボフルラン麻酔中の脳波データのカオス解析(リアプノフ指数)とエントロピー解析から検討した結果、セボフルラン麻酔深度を上げると、秩序性が増し、脳波のエントロピーは低下する一方で、脳波のカオス性が増大する(リアプノフ指数が増大)という、一見、矛盾するように見える結果が得られた。これらの成果は、現在、投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
投稿中の論文の掲載を進めるとともに、2次元の状態空間に反映しきれない複雑性の要素を、どのように脳波ポワンカレプロットに取り入れてゆくか、麻酔深度と複雑性解析から探ってゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
病棟での新型コロナウイルス感染事例や麻酔予定患者の感染などあり、麻酔管理中の新しいデータ収集や臨床研究の実施がためらわれる状況にあり、全体に研究活動が遅れた。そのため、次年度使用額が生じた。
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