研究実績の概要 |
冠攣縮性狭心症は冠動脈の異常収縮により潅流組織の虚血を生じる疾患である。冠攣縮の発生機序は血管内皮障害と血管平滑筋の過収縮である。近年血糖変動と心疾患との関連が注目されている。血糖変動が大きいことにより①血管内皮機能を傷害する②冠動脈硬化を促進することが報告されおり、冠攣縮性狭心症の発症を促進する可能性がある。我々は大きな血糖変動が冠攣縮性狭心症の病因になるかを明らかにしたい。また不飽和脂肪酸は副交感神経を優位にすることが報告されており、冠攣縮性狭心症は副交感神経が優位になる朝方にかけて発作が多く起こることが報告されている。我々は血糖変動と不飽和脂肪酸による冠攣縮性狭心症への影響を明らかにするため、当院に冠攣縮性狭心症が疑われて心臓カテーテル検査を行う患者に持続血糖モニタリングシステムと血液検査で行った。持続血糖モニタリングシステムを装着できた症例は5名のみであり解析を行うことができなかった。しかし不飽和脂肪酸と冠攣縮性狭心症患者との解析は過去の症例を加えて379例で解析を行うことができた。結果は冠攣縮性狭心症患者は非冠攣縮性狭心症患者と比較しして有意にω-3不飽和脂肪酸のDHAが有意に高かった(144.0±50.1μg/ml vs. 129.7±40.5μg/ml, p=0.016)。また冠攣縮性狭心症と多価不飽和脂肪酸雄の関係における性差について心臓(52(7):706-712,2020)で報告を行った。ωー3不飽和脂肪酸のDHAは冠攣縮性狭心症の予測因子になる可能性があり、不飽和脂肪酸と冠攣縮の関係について英語論文を執筆中である。
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