本邦における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、幾度かの変異株移行を繰り返しながら、未だに収束の目処が立たない。多くの症例は軽症であるが、一部の患者は重症化し重篤な呼吸不全が問題となる。COVID-19の重症化メカニズムに関して、現在までに様々な研究結果が報告されているが不明な点が多い。 研究代表者はCOVID-19診療に直接携わっており、呼吸療法を中心とした集中治療を専門としている。ワクチン接種が広まるにつれ、診察する患者年齢が若年化していると感じている。比較的若く特記すべき併存疾患を持たない患者であっても、COVID-19による肺炎は治癒に時間が多く必要となる印象がある。 COVID-19では様々な後遺障害が問題となっている。高度な全身性炎症を伴う敗血症と同様に、COVID-19において後遺症あるいは機能障害の遷延が生じるメカニズムには、組織リモデリングが関連していると予想される。本研究では敗血症やCOVID-19の診療内容と治癒過程を検討し、さらに有害なリモデリングを制御し得る治療方法を開発することを目的としている。
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