研究課題/領域番号 |
19K09411
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
牧野 洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10397408)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳号脈瘤 |
研究実績の概要 |
脳動脈瘤の破裂に伴うくも膜下出血は、比較的若年世代にも発症し、また、社会復帰率約3割という悲惨な結末を招くため、保険財政上においても大きな損失となる疾患であると言える。近年画像診断法の進歩に伴い、未破裂脳動脈瘤が診断されるケースが増加しているが、脳動脈瘤破裂予防には、開頭下でのクリッピング手術や、血管内コイリング手術が行われている。しかし、それらの予防法は侵襲的であり、より低侵襲な治療法を確立する事が、喫緊の課題となっている。近年低侵襲治療法として、間葉系幹細胞を用いた疾患治療研究が注目を集めている。本研究は脳梗塞や脊髄損傷の治療において有用性が報告されている間葉系幹細胞のうち、安全、低侵襲かつ低コストに採取する事の出来る歯髄幹細胞を用いた、新しい脳動脈瘤破裂予防法の確立を目指すものである。 ■マウス脳動脈瘤モデルの作成:片腎を摘出したマウスの皮下にDeoxycorticosterone (DOCA)を投与し、1%食塩水を飲料水 として与えることで高血圧を発症させると共に、脳脊髄液中への豚膵エラスターゼ一回注入 により作成した。マウスに脳動脈瘤を誘導してから3日目にMRアンギオグラフィーを行い、脳動脈瘤の出来ているマウスを選別した。 ■歯髄幹細胞の投与:セルテクノロジー社から提供を受けた凍結ヒト歯髄幹細胞を6~10継代培養し、歯髄幹細胞細胞数:2 x 105 cells/20g Body Weight, 溶媒100μl PBSにてマウス内頚静脈より脳動脈瘤誘導3日目と7日目に全身投与した。 ■研究成果:現在、実験中であり、公表できる成果はない
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス脳動脈瘤モデル作成においては、エラスターゼをマウス脳層内に一回注入する事により、マウス脳動脈内弾性板を変成させることが必要となるが、エラスターゼは豚膵臓由来の製剤であり、ロット間に作用のばらつきがある。実験の途中でエラスターゼのロット変更を行ったところ、脳動脈瘤発生率にばらつきが生じてしまった。更なるロット変更を行ったところ、脳動脈瘤発生率は安定したが、この検討に半年間を要した。また、年度終盤はコロナウイルス感染拡大に伴い、実験が止まるなどの特殊な事情があり、想定していた進捗は達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス感染拡大は予断をゆるさない状況である。現在、遠隔会議システムを用いてラボカンファレンスを行うなどの工夫を行って状況を改善する努力を行っている。今後徐々に社会機能が回復へ向かえば、実験を取り巻く環境も改善する事が期待される。今後研究の遅れを取り戻すべく、研究推進に努力していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定額に関してはおおむね予算通り執行できており、端数にあたる金額が残ったが、来年度の研究推進のためにッ使用させていただきたい。
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