研究課題
ラット敗血症性モデルを用いたVA-ECMOの治療効果と体内各臓器への影響の評価、およびラット非閉塞性腸管虚血症(Non occlusive mesenteric ischemia、以下NOMI)モデルを用いた腸管血流動態の解明を目的とした動物実験を継続して実施した。各々のラットモデルにおいて、インドシアニングリーン(Indocyanine green、以下ICG)を静脈内に投与し、小腸・大腸など腸管を主体として各臓器を摘出し、病理組織学的検索を行った。病理組織学的検索では、HE染色標本による通常光観察に加えて、ICG専用フィルター(OP-87767)を使用し、蛍光顕微鏡(KEYENCE BZ-X700)を用いた病理組織標本でのICG観察を行った。また、NOMIに代表される腸管虚血症(Acute Mesenteric Ischemia、以下AMI)を来した症例を後方視的に解析した。特にVA-ECMO導入中にAMI、NOMIを合併し、試験開腹術や腸管切除術を施行した症例においては、術中に腸管の虚血範囲の同定を目的としたICG投与を行い、切除範囲の特定を目的とした近赤外線観察を実施している。これらのAMI症例について、切除腸管の組織標本を用いた病理組織学的検索により腸管壁の構造変化を明らかにし、ICG専用フィルターを用いた蛍光顕微鏡察を行った。手術中の近赤外線観察による虚血評価の所見と病理組織学的検索結果との対比を行った。切除腸管の組織標本は検体処理の方法は統一されているものの、検体処理の開始時間などを均一にすることは困難であるため、ICGの病理組織標本での分布や残存について、動物実験モデルからの更なる研究結果のフィードバックを要すると考えられた。
3: やや遅れている
前年度までのCOVID-19感染症の影響により動物実験の遅れを生じていたため、2022年度は概ね順調に研究を遂行できていたものの、全体の進捗としては遅れを解消できているとは言えない状況である。
現在実施している敗血症性心筋症モデル、ラット非閉塞性腸管虚血症モデルを利用したVA-ECMO導入による腸管血流動態の解明および各臓器の病理組織学的検討を継続する。
前年度までの研究の遅れを当該年度のみでは解消できなかったため、研究の延長申請を行った。このため、次年度使用額が生じている。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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