研究実績の概要 |
横紋筋融解はしばしば熱中症においてみられる病態であり、横紋筋から逸脱したミオグロビン、遊離ヘムが組織障害の原因となる。今回、横紋筋融解モデルを用いて遊離ヘムが全身的な炎症反応を惹起し、さらに凝固異常をもたらすことによって組織循環障害の原因となっていることを明らかにした。この遊離ヘムの障害性は生理的な中和物質であるヘモペキシンによって緩和することが可能であると考えられたが、今回のモデルではその効果を確認することはできなかった。しかしながら、横紋筋融解を伴う熱中症の重症度指標として、IL-6に代表される炎症指標、D-dimerに代表される凝固機能検査が有用であることが検証され、また微小循環観察においては血管内微小血栓形成が病態形成に関与していることが明らかになった。また微小血栓の原因としては、活性化白血球とともに血管内皮障害が重要であり、さらに活性化血小板の関与も大きいことが明らかにされた。そして白血球細胞死によって放出されるヒストンやHMGB-1などのdamage-associated molecular patterns (DAMPs)、さらに活性化血小板から放出されるvon Willebrand factor, platelet factor 4, さらには血小板表面に発現し、血中に遊離するp-selectin, c-type lectin-lice receptor 2などのバイオマーカーが重症度の判断に有用であることが明らかになった。以上の研究成果はEClinicalMedicine. 2022 Jan 22;44:101276.にて報告を行なった。またその続報として、Iba T, Helms J, Levi M, Levy JH. The role of platelets in heat-related illness and heat-induced coagulopathy. Thromb Res. が in pressの状態である
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