研究課題/領域番号 |
19K09433
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中橋 奨 三重大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (40761896)
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研究分担者 |
志馬 伸朗 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (00260795)
高橋 理 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 教授 (60505030) [辞退]
今井 寛 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (00184804)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人工呼吸器関連事象(VAE) / 人工呼吸器関連肺炎(VAP) / 呼吸器合併症 / 人工呼吸 / 集中治療 / ICU / 医療の質 / Quality indicator(QI) |
研究実績の概要 |
前年度の研究体制整備に続き、今年度は具体的にデータ収集を開始した。幾つかの施設では一次収集を終える事に成功した。①データ収集にあたり、15の研究協力施設を集めた。何れも都市圏にある地域の中核施設であり臨床力・機能に大きな差は無く、これに関するバイアスは無視できるものと推察される。一方、北は北海道の施設を集める事が出来たものの、九州・四国地区の施設を集める事が出来ず、地域の偏りは否めない。しかし大学病院と市中病院をバランス良くリクルートできた為、ICUにおける“医療の質指標“を測るには適した構成となった。②研究施設の内、3施設では既に一次データ収集を終えた。特筆すべきは欠損値がない事である。全項目のデータ入力に成功しており、これは観察研究における統計解析上の確からしさ担保の上で極めて重要である。現時点での対象患者(193名)属性は、平均年齢66歳、約半数(45-48%)が術後患者である。これは本邦におけるICU患者の平均値(年齢:66歳、術後患者割合:45%)と近似である。つまり日本のICUの患者特性を良く反映したものとなっている。現状、VAEの発生率は9.4%である。更なる集積に努めている最中である。③DPCデータファイルは、一般には解析に不向きなフォーマットにて形成されている。これを解析可能な様式へと成形するノウハウ、及び必要データを抽出するプログラムを構築し得た。これにより、DPCデータの十二分な活用が可能となり、臨床で収集したデータとを対応させる事でより詳細な分析が期待出来る事となった。
以上、現在のところ研究体制は整備されデータの蓄積が順調に進んでいる状況である。しかし、COVID-19の影響を直接被る本事業故、進捗は遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19パンデミックの影響である。本研究・事業はICUでの臨床研究故、直接COVID-19パンデミックの影響を被った。参加施設(ICU)は何れも地域の中核であり、重症コロナ患者を多数受け入れ、治療にあたる最前線である。現場は混乱し、患者救命におわれる毎日・状況であった。本事業は本来、本年度中にデータ収集を終える計画でいたが、2020年度は新型コロナウィルス感染症の第2波、第3波があり、これの影響が直撃した形で、本事業も停滞せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
①今年度半ばに、全施設において一次データ収集を終える予定である。 ②解析可能な項目より、統計処理を実施し、2021年6月に開催される第43回日本呼吸療法医学会全国学術集会(横浜)のワークショップにて途中解析結果を公表する予定。 ③本研究体制・準備もしくは技術的側面など研究者側要因には関係なく、20・21年度中に多くの施設で、COVID-19パンデミックによる研究の一時中断(もしくは停滞)を余儀なくされた故、本研究事業の期間延長の申請を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックの影響による患者登録・一次データ収集の遅延により、これに関する各施設・担当への協力金が発生しなかったためである。しかし現在は、全施設が本事業に対し順調に軌道に乗っている状況である為、本年度において順次予算計上を致す予定である。
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