一酸化炭素(CO)中毒ではマイクログリア(MG)の樹状突起がちぎれ数が減少し、さらにMGにおける各種神経栄養因子のmRNA発現が有意に減少する。このことはCO中毒後に発症する遅発性脳症の原因となることが考えられるが、IGF-2を補充することで予防することが出来るかを検討することを目的とし、実験を行った。IGF-2を補充することでMGの生存には関与しないが、ミエリン成分は有意に保持され、さらに、CO中毒後の行動異常も改善された。この効果は神経細胞表面に発現するIGF-1受容体を介したものと考えられ、IGF-2の投与はCO中毒後の遅発性脳症に対して、一定の効果があるものと推察される。
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