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2019 年度 実施状況報告書

重症外傷患者における酸化ストレス制御を目的としたビタミンC補充療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K09437
研究機関大分大学

研究代表者

竹中 隆一  大分大学, 医学部, 助教 (90457606)

研究分担者 重光 修  大分大学, 医学部, 教授 (40215968)
松本 重清  大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードビタミンC / 酸化ストレス / VCR/DMSO / 外傷 / 電子スピン共鳴装置 / ラジカル
研究実績の概要

重症外傷患者の保存血清を用いビタミンCや酸化ストレスの動向を探った。
重症外傷患者69名と健常者15名の保存血清を用い、電子スピン共鳴装置を用い、DMSO(溶媒)を添加し発生させたビタミンCラジカル(いわゆるVCR/DMSO)値を測定した。重症外傷患者の来院時のVCR/DMSO値は0.2979で健常者のVCR/DMSO値(0.9345)と比較すると有意に低下していた。さらに時系列で測定できた症例の検討では、VCR/DMSO値は受傷翌日、翌々日と更に低下していることが示された。このVCR/DMSO値は前研究にてビタミンC濃度と正の相関を示すことが証明されており、今回の結果から重症外傷患者においては初日よりビタミンC濃度が低下しており、通常の補液や栄養治療のみでは十分に補充されず減少枯渇していく傾向があることがわかった。また、他の重症救急患者においても同様の傾向がみられた。
メタボローム解析については重症外傷患者15例を測定した。まだ解析途中であるが健常者や他疾患患者との比較において有意な相違が見られており、現在詳細を解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

保存血清を用いた酸化ストレスの測定を行いその傾向をつかんだ。これら結果について学会発表(第47集中治療学会学術集会:新型コロナの影響で紙面発表、40th ISICEM:新型コロナの影響で学会延期)を行い、論文発表を進めている。一方で介入研究を策定するにあたってはデータサンプル数が不足している。特に時系列でのデータを収集するためのサンプルが不足しているため、2020年度前半には採血プロトコルを策定し、プロトコルに従ったサンプル収集を行い、データを追加検討を行う必要がある。さらに2019年度後半で行う予定であった生体侵襲マーカーなどのELISA測定について新型コロナ対応などの影響で実施が困難であったため未実施である。次年度に実施する予定としている。
メタボローム解析は保存血清サンプルの測定は実施できたが解析準備段階でまだ解析に至っていない。

今後の研究の推進方策

2020年度においては、重症外傷患者における酸化ストレスの動向、ビタミンCの動向、時系列での変化、これらと生体侵襲マーカーや臨床パラメーターとの関連などをさらに明確にするべく、当院に来院した重症外傷患者を対象に採血プロトコルを作成し、サンプルの収集を進め。データ解析を行う予定としている。
2019年度に実施できなかったELISAなどによる生体侵襲マーカーや酸化ストレスの評価を実施する。メタボローム解析はデータを処理したうえで
これらの結果をもとに、次年度の介入研究のプロトコルを作成し倫理委員会承認などの手続きをとり介入研究の準備を進める。
2021年度においては、重症外傷患者に対して酸化ストレス制御を目的としたビタミンC投与の有用性を証明するべくビタミンCを投与していく介入群とビタミンCの積極的投与は行わず従来の治療のみを行う非介入群とに割り付けし、それぞれの患者群において予後に有意な差が出るかを検討する。さらに収集したデータをもとにビタミンCの最適な投与スケジュールを検討し、学会発表や論文発表を通じて、重症外傷患者に対してのビタミンC投与療法について普及をはかる。

次年度使用額が生じた理由

酸化ストレス測定装置(Free Carrio Duo)の購入が予定より安価で済んだ分、差額が生じた。重症外傷患者の血液サンプルの収集がやや遅れており、酸化ストレスマーカー測定やビタミンCラジカル測定のサンプル数が目標に達していないためその分差額が生じた。さらに昨年度後半に実施予定であった生体侵襲マーカーとしてのIL-6やHMGB1などのELISA測定が新型コロナ対応などの影響で実施困難であった。
差額を次年度に繰り越し、サンプル数を増やし酸化ストレス、ビタミンC濃度測定、ビタミンCラジカル測定を実施する。さらにはELISAにてIL-6やHMGB1など生体侵襲マーカーを測定し検討する。
採血プロトコルを作成し、来院した患者の血液を用いリアルタイムで経時的にこれら項目を測定していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 重症救急患者における血中ビタミンCの動向とビタミンC補充療法の可能性2020

    • 著者名/発表者名
      竹中 隆一
    • 学会等名
      第47回 日本集中治療学会学術集会
  • [学会発表] Serum Vitamin C levels were decreased with Severe Emergency Patients:An Electron Spin Resonance Study2020

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Takenaka
    • 学会等名
      40th ISICEM(国際救急集中治療会議)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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