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2020 年度 実施状況報告書

重症外傷患者における酸化ストレス制御を目的としたビタミンC補充療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K09437
研究機関大分大学

研究代表者

竹中 隆一  大分大学, 医学部, 助教 (90457606)

研究分担者 重光 修  大分大学, 医学部, 教授 (40215968)
松本 重清  大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード酸化ストレス / 救急患者 / ビタミンC / 電子スピン共鳴装置 / 補充療法
研究実績の概要

介入研究の立案に向けて、前研究を行っている。
これまで、救急搬送時に血液検査を実施し、研究に使用する血液サンプルが得られた103症例および比較評価のため健常ボランティア15例も対象として酸化ストレスの動態把握を行った。電子スピン共鳴装置を用いた血清VCR/DMSO値の測定にてビタミンC濃度の把握を行ったが、採血から測定結果判明まで最速30分で結果を得ることができた。これは従来のビタミンC測定法である高速液体クロマトグラフィーなど他方法よりかなり迅速であり、臨床応用しやすいと考えられた。他方法と本方法での結果は正の相関があることは以前の論文で示しており、今後の介入研究においても本法を主として立案してくことで問題ないと考えられた。測定結果に関しては、救急患者全体での血清VCR/DMSO値は0.265±0.138であり、健常者の0.935±0.203と比較し統計学的有意差をもって低値であった(p<0.05)。外傷患者群のみでは0.295±0.132であったが、これも健常者と比較し有意に低値(p<0.05)であった。これらよりやはり外傷患者においてビタミンCが有意に低値であり、ビタミンC補充療法が何らかの有益な結果をもたらす可能性が示唆された。一方で、外傷重症度を示すパラメータとの相関はISS、RTS、およびTRISS法によるPs、いずれの臨床パラメータもVCR/DMSO値と有意な相関は示さなかった(ISS:r=-0.035、RTS:r=0.312、Ps:r=0.1)。これよりビタミンC補充は、単純に外傷の重症度のみで判断できず、その患者背景や受傷からの時間など多くの要因によるものと思われる。この結果からも、電子スピン共鳴装置で迅速にビタミンC濃度を把握し、必要な患者に適切なタイミングでビタミンCを補充することが重要と考えられた。現在、この結果を論文化している最中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度、新型コロナウイルスの影響で、臨床現場がひっ迫しており研究に割く時間的余裕がなかった。また実験室内での密な状況を避ける必要があったことも遅延している理由の一つである。実験助手もこの状況で確保できなかった。

今後の研究の推進方策

上記状況のなかで密をさけるため、休日や夜間などを利用し時間的工夫を行い研究を進めていくことを検討している。また、研究補助員を確保し、人的不足を解消し進めていきたい。
上記体制を整えることを行いながら、並行して現在の途中経過の論文報告を完成させる。同時に、臨床研究(介入研究)の計画を立案し本年度前半で倫理委員会の承認を得て、後半から臨床試験を開始したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス蔓延などの影響で、研究の進捗が遅れた。そのため、当該年度使用予定が次年度にずれ込んだ。全体的にやや進捗が遅れているが、これまでの研究結果からは研究計画そのものを大きく変更する理由は現時点ではないため、当初の計画を遅れながら進めていく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Serum Vitamin C Levels were decreased in Severe Emergency Patients2020

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Takenaka、Nureki Shinichi、Kiyoshige Matsumoto、Osamu Shigemitsu
    • 学会等名
      40th ISICEM/Web発表
    • 国際学会
  • [学会発表] 重症救急患者における血清ビタミンCの動向とビタミンC補充療法の可能性2020

    • 著者名/発表者名
      竹中隆一、重光修
    • 学会等名
      第47回日本集中治療学会学術集会/誌面発表

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公開日: 2024-12-25  

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