研究課題/領域番号 |
19K09438
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上國料 千夏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (50751278)
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研究分担者 |
伊藤 隆史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (20381171)
原 怜 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70624815)
安田 智嗣 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80437954)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | テトラヒドロビオプテリン / 敗血症 / 敗血症関連脳症 / アミノ酸代謝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、敗血症関連脳症(SAE)の発症メカニズムにテトラヒドロビオプテリン(BH4)が関与していることを明らかにし、BH4および代謝物質(以下プテリジン)の血中濃度調整による、SAEの予防効果もしくは予後改善効果について検討することであった。 本研究期間において、我々は盲腸結紮穿刺(CLP)による敗血症モデルマウスを用いた研究で、BH4の酸化型であるジヒドロビオプテリン(BH2)の増加が血管内皮細胞障害に関与し、早期のBH4の酸化抑制が予後改善に繋がることを見出した(Front Pharmacol. 2022 Oct 6;13:929448)。同モデルにおいて、血中・脳組織中のフェニルアラニン(Phe)と、プテリジンの経時変化を明らかにし、脳の組織学的評価と合わせて検討したところ、CLP処置後早くから血中、組織中Phe濃度の上昇が見られ、BH4同様に処置24時間後にて血中濃度が最大であった。以降減少に転じるBH4、BH2などとは異なり、Pheは高値のままであった。CLP24時間後の海馬周辺おいてはSAEの指標とされるIba1陽性所見が対象群と比較して多数見られた。 一方、敗血症患者におけるプテリジン、アミノ酸を解析したところ、ICUに入室した敗血症患者では、健常人と比較して有意に高値であり、敗血症の重症度に応じた有意な差がみられた。また、これらは臓器障害の指標とも相関がみられた。敗血症患者における血中Phe濃度も、感染症以外の理由でICU入室となった患者に比べ有意に高値であった。 SAEの改善効果については敗血症モデルマウスにてCLP処置後に増加するIba1陽性所見が、BH4を標的とした治療的介入により消失(減少)することを仮定し実験を行った。投与薬剤、タイミングなどいくつかの条件下で検討したが、期間内において有効性を認める結果を出すことはできなかった。
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