昨年度までの検討では研究代表者が以前から使用しているラットのアナフィラキシーモデルではアナフィラキシーの二相性反応がみられなかった。その一因として、抗原感作法の違いが考えられた。従来モデルでは抗原性を増強させるためにadjuvantとしてComplete Freund's adjuvantを抗原とミセル化して感作している。そこで、本年度は新たにadjuvantを使用しないで抗原である卵白アルブミンの量ならびに投与回数を多くして感作し、アナフィラキシーの二相性反応の誘導を試みた。すなわち、感作に卵白アルミンの抗原量を従来のアナフィラキシー実験の5倍量(5mg)を投与した。さらに、従来の方法では抗原投与回数は1回のみであったが、それを増やして、3週間わたって計6回の皮下投与を行って感作した。その結果、抗原にadjuvantを加えた従来の方法で感作したラットのアナフィラキシーによる体表温度低下が1.5℃に対して、今回の検討では0.6℃と反応は弱い傾向にあるものの、アナフィラキシー反応は惹起することができた。しかしながら、課題の二相性反応は体表温度低下で評価したが、初期のアナフィラキシー反応による体温低下の後、24時間にわたって観察するも、さらなる温度低下は認められず、二相性反応は惹起できなかった。以上より、adjuvantを使用しないで卵白アルブミン抗原で感作したラットのアナフィラキシーでは二相性反応は惹起できないことが明らかとなった。
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