【最終年度に実施した研究の成果】 最終年度である今年度は、既に所期の成果が概ね得られていたことから、さらなる発展的課題として、グリオブラストーマ幹細胞において、まだ知見があまり得られていない神経伝達物質であり、さらに患者さんの生活の質(Quality of Life)を改善させる薬剤に焦点を当て新規知見の創出に努めた。 具体的にはメラノコルチン受容体を標的とした薬剤であるbremelanotideと、神経伝達物質Xを標的とした新薬X'を中心に、グリオブラストーマ幹細胞における抗腫瘍効果や、化学療法感受性の変化についての検討を行いつつ、その結果に関してシグナル伝達経路などを主軸に機序探索を行った。 bremelanotideや新薬X'による処理によりEGFR-TKIや他の殺細胞性化学療法薬への感受性が増幅されたりpromisingな結果を得た。だが本年度中に結果をまとめ報告するには至らなかったが、発展的課題という位置づけであるため、次年度以降の研究へつなげていく所存である。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 グリオブラストーマ幹細胞を中心として、その他の難治がん(肺がんや膵がんなど)にも応用できるポテンシャルを有する数多くの知見を得ることができた。本課題の主軸であったグリオブラストーマ幹細胞へ第三世代EGFR-TKIを応用するという点において、Brexpiprazoleといったpatient-friendlyな薬剤で抗アポトーシス抵抗性分子であるサバイビンの減弱を介して培養細胞レベルだけでなく動物レベルまで広がる知見を得ることができた。詳細は別途の報告書に記載する。
|