研究課題/領域番号 |
19K09450
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松丸 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70323300)
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研究分担者 |
石川 博 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30089784)
丸島 愛樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40722525)
武川 寛樹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80173558)
豊村 順子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (80645630) [辞退]
大山 晃弘 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90538232) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 神経系細胞 / 脳梗塞 / 神経再生 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
智歯等で抜歯を受けたヒト歯髄から歯髄幹細胞を作製し、神経系細胞に分化誘導した。得られた歯髄幹細胞はFACSによる表面抗原の評価において、間葉系幹細胞のポジティブマーカーであるCD44, CD73, CD90が陽性、ネガティブマーカーであるCD14, CD34, CD45, CD105, CD146が陰性であった。また、免疫染色では幹細胞マーカーであるNanog, Oct4, Sox2が陽性であり、間葉系幹細胞の特徴を有していることが示された。歯髄幹細胞が骨、軟骨、脂肪に分化誘導可能であり、多能性を持つことが示された。歯髄幹細胞から分化誘導した神経系細胞は、Nestin、GFAP、MBPに加え、doublecortin、βIII tubulin、MAP2やSynaptophysinが陽性であり、神経幹細胞、アストロサイト、未熟・成熟神経細胞、オリゴデンドロサイトなど複数の中枢神経系細胞のマーカー陽性であった。 分化誘導神経系細胞の電気的活動評価をカルシウム指示薬とマルチ電極アレイで行ったところ、電気刺激の入力や薬剤の添加なしに、神経系細胞には多くの細胞、多くの電極で繰り返す輝度変化と活動電位を認め、自発的電気活動があることを確認した。歯髄幹細胞と神経系細胞のマイクロアレイによる解析では、神経系細胞はVEGFの発現が高く、低酸素耐性が強いことが示唆されたため、低酸素低グルコース負荷(OGD)培養実験を行った。その結果、神経系細胞は歯髄幹細胞に比べてOGD条件下における生細胞数が高く、虚血耐性が高いことが示唆された。 本研究で確立した方法で培養した神経系細胞を免疫不全マウス脳梗塞モデルに直接移植し、その効果や移植した細胞の評価を行った。細胞数を変えた用量反応試験により、至適細胞数を確定させた。予備実験において、歯髄由来神経系細胞の脳梗塞病巣内の生着、神経症状の改善効果を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経系細胞の特性評価、動物モデルへの移植実験など、予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
用量反応試験で得られた至適細胞数を免疫不全脳梗塞マウスモデルに移植する試験を行う。対照として緩衝液投与群、歯髄幹細胞群を作製し、脳梗塞縮小効果、神経症状改善効果を検証する。さらに、移植神経系細胞の脳梗塞病巣での各種中枢神経系細胞への分化度や、神経系ネットワークの再構築を評価し、神経機能回復の作用機序を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の消耗品や旅費の費用負担の減額があったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、脳梗塞モデルへの細胞製剤の移植実験(本試験)に使用する。
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