研究課題/領域番号 |
19K09452
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
國井 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80713940)
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研究分担者 |
川合 謙介 自治医科大学, 医学部, 教授 (70260924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ニューロフィードバック / 単一ニューロン活動 / 皮質脳波 / ブレインマシンインターフェイス |
研究実績の概要 |
我々は微小電極と表面留置型電極からなるハイブリッド電極を開発し、微小電極で記録される単一ニューロン活動と表面留置型電極で記録される高周波律動活動が、復号化において相補的な情報源となることを示した(Front Neurosci.12:221:2018)。本研究ではこのハイブリッド電極をヒトの発声に関わる感覚/運動野に慢性留置し、①得られた脳活動をリアルタイムで復号化するシステムを構築し、②復号化した情報をフィードバックすることにより復号化の精度が経時的に改善することを示すことを目的とした。 昨年度構築したハイブリッド電極を用いたリアルタイムニューロフィードバックシステムを用いて、昨年度の1例に加えて新たに2例でニューロフィードバックを行った。依然として、復号化精度はチャンスレベルを有意に超えるものではなく、ユニット検出数の問題、復号化アルゴリズムの問題が原因として考えられた。そこで、オフラインデータを用いたリアルタイムデコーディングのシミュレーションを行う環境の構築とこれによるオフラインデータ解析を重点的に行った。結果として、オンサイトでの計算処理時間を大幅に短縮することに成功し、次年度以降に繰り返し計測によるフィードバックを行う準備を整えることができた。シミュレーション環境の構築により、これまで十分に解析できていなかったデコーディングプロセスの問題点が抽出され、復号化精度改善に寄与することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまで3名の被検者を対象とした研究を行い、ハイブリッド電極により計測したシングルユニット活動および皮質脳波由来の高周波律動活動をリアルタイムデコーディングし、これを被検者にフィードバックするシステムの構築に成功した。しかし、復号化精度が十分ではない点、一人の被検者に複数回のフィードバックを行うことによる復号化精度の改善が得られていない点が今後の課題である。COVID-19パンデミックによる臨床上の制約から被検者リクルートが十分に進まないこと、および、対面での計測時間を制限する必要性から複数回のフィードバックセッションを設定しにくいことが大きく影響したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19パンデミックによる臨床的制約の解除以降、現在抽出されているニューロフィードバックにおける問題点を克服できるようオフラインデータをもちいたシミュレーション解析を進める。本研究のデータ量は、頭蓋内電極留置が必要な難治性てんかんを有する患者の数に依存するため、引き続き高いレベルのてんかん診療を維持し、計測データの蓄積を推進する。これらに加えて、ハイブリッド電極構成の最適化を継続する。
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