研究課題/領域番号 |
19K09455
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 崇士 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 研究員 (10572224)
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研究分担者 |
大石 直也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40526878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生体光イメージング / マルチモダリティ / 脳循環代謝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数の光イメージング法を組合わせることによって脳の代謝、温度、血流の同時計測を実現し、脳神経活動と脳循環代謝の関連を定量的に明らかにすることである。 脳温度イメージングと、脳血流イメージングの同時計測系をある程度構築することができた。そこで、評価指標の一つである脳代謝活動の評価として、フラビン蛋白蛍光イメージングを、実体顕微鏡を用いて構築した。対象となるマウスの大脳皮質表面に450nmの青色励起光を照射し、脳代謝で増加する酸化型フラビン蛋白の緑色の自家蛍光(550nm)をパスフィルタにて抽出し、高感度デジタルカメラで観察、記録した。感覚刺激は、マウスのヒゲや上肢、下肢に約200Hzの振動刺激を用いた。また刺激導入から、デジタルカメラの記録までを自動化するシステムの開発をおこなった。その結果、刺激に伴う大脳皮質の変化を観察することができた。しかしながら、ショットノイズの影響等が関与していることや、血流増加によるヘモグロビン量増加が、フラビン蛋白の自家蛍光を吸収していることも考えられ、脳代謝を評価するには至っていないと考えられた。今後の予定としては、光源や検出器の調整および、血流イメージングとの同時計測により、フラビン蛋白蛍光の検出精度向上を目指す。 また、脳血管の3次元構造や血流速度を光コヒーレンス断層法により取得し、そこで得られた情報を、神経‐脳循環代謝の関連解明に用いることも考えている。光コヒーレンス断層法を用いて小型魚類の脳を対象に撮像をおこない、大脳全体の血管の3次元構造をin vivoで可視化することができた。これにより脳循環代謝の現象解明を、脳局所ではなく大脳全体を対象とできる可能性が示唆された。したがって今後は小型魚類も対象として実験を進めていくことも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
構築中であった同時計測系が、装置の移設および赤外温度カメラの変更によって新たに構築する必要が生じたため、予定より時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
脳代謝イメージング法を確立させ、他の光イメージングとの融合を目指す。 研究代表者が異動となり、実験環境の整備および再構築が必要となっている。特に小動物を用いた基礎実験の再開、実施については、時間を要する可能性が考えられる。したがって、対象として細胞や小型魚類の使用による代替案を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
装置開発が予定より遅れており、次年度に必要な物品購入費を確保するため。
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