前回の申請研究では、腎除神経術は視床下部傷害を軽減し交感神経活動を抑制した結果SAH後の脳血管攣縮が改善することを示した。本研究では、視床下部傷害に由来するSAH後の脳血管の形態的変化の特徴を調べた。その結果、超急性期の脳動脈の不安定性と脳静脈のうっ滞、24時間後の脳動静脈の攣縮を認めた。次に、交感神経の活性化に関与する脳血管周囲マクロファージを薬理学的に失活させたところ、急性期予後は改善するが、その効果は脳実質内の細胞障害性変化ではなくSAH後超急性期脳血流低下の抑制と関連した。以上の結果から、SAH後視床下部傷害は予後と直結する脳血管動静脈傷害や超急性期脳血流低下と関連することがわかった。
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