研究課題/領域番号 |
19K09462
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
上野 育子 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 講師 (20468317)
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研究分担者 |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989)
佐々木 真理 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (80205864)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳循環予備能 / IVIM / ASL / 脳血液量 |
研究実績の概要 |
本研究ではMRIを用いた高精度で無侵襲な脳循環予備能計測法として、(1)拡散強調画像(DWI)に含まれる灌流情報(intravoxel incoherent motion, IVIM)を利用した手法と、(2)arterial spin labeling (ASL)法灌流画像の経時的信号変化を利用した手法の異なる2つのアプローチからの脳血液量(cerebral blood volume, CBV)計測法の開発を目指している。 本研究では、IVIM解析の灌流割合(f値)からCBV評価が可能であることを利用して、慢性脳虚血患者を対象としたIVIM解析を行い、アセタゾラミド負荷SPECTによる血管反応性(cerebrovascular reactivity, CVR)と比較する。本年度では主に解析法の違いによる結果の比較を行った。信号減衰曲線S(b)/S(0) = f×exp^(-b×D*) + (1-f)×exp^(-b×D)に対して、3変数(D,D*,f)をbi-exponentialで近似する2手法について比較した。ここで、S(b)はbの信号値、S(0)はb=0の信号値、Dは真の拡散係数、D*は疑似拡散係数である。方法1は全b値を用いて3変数を同時に求め、方法2は最初にb値200s/mm^2以上でDを求めた後に全b値を用いて残りのfとD*を求めるものである。前年度と同じ症例に対して、2手法により求めたf画像から脳脊髄液を除去後にMCA領域のROIを計測しSPECT-CVRと比較した。結果として、方法1と2ともに、IVIM-fの相対値(患側/健側比)とSPECT安静時CBFの患側CVR値と有意な負の相関が認められた。CVR低下症例(過去研究からCVR<18.4%)の判別に関しても、カットオフ値は異なるものの、感度・特異度も同値であった。本研究成果は国際論文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IVIM解析については、撮像法の改良は必要ではあるが、概ね良好な解析結果が得られ、国際論文誌にも投稿することができた。ASL解析については、順調に症例数が増えており、いくつかの解析法について比較・検証を始めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
IVIM解析については、信号強度の変動が解析エラーに繋がっていることから、信号安定性が期待できるPROPELLER法などを利用した撮像法の検討を行う予定である。ASL解析については、SPECTと比較した結果をもとに、解析手法の改良を検討し、その成果を学会あるいは国際論文誌にて発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿が年度末となったため、論文誌掲載時にかかる予定の費用分が次年度繰越となった(2021年5月現在でunder review)。2021年度は、前年繰り越し分を論文誌掲載費用にあてる予定である。
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