研究課題/領域番号 |
19K09474
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金山 政作 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40466751)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ウイルス療法 / microRNA / 悪性脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
膠芽腫に対する第Ⅱ相臨床試験も終了し、実臨床への適用も近い遺伝子組換えヘルペス(G47Δ)を用いたウイルス療法においてさらなる治療効果増強を得るための併用治療開発を目的とし、抗ウイルス感染防御、抗腫瘍免疫に関与するmicroRNAの制御により悪性脳腫瘍に対するウイルス療法の効果増強が期待できると考えmicroRNA制御の有効性を評価する研究を進めている。 まず、抗ヘルペスウイルス感染防御因子と考えられるmiR-138をターゲットとし研究をすすめている。In vitroの実験において膠芽腫細胞株におけるmiR-138阻害によるG47Δ抗腫瘍増強効果は確認されているが、マウスモデル実験のため高阻害TuD-RNAレンチウイルスを用いてmiR-138が抑制されたN2a細胞(マウス神経芽腫)恒常発現株を作成し、皮下腫瘍モデルでのG47Δとの併用効果を検証した。miR-138が阻害された腫瘍においてはウイルス複製能、抗腫瘍効果の増強が確認された。また、副次的にmiR-138阻害腫瘍においては抗腫瘍免疫応答の増強が確認された。このため腫瘍細胞表面抗原発現、浸潤リンパ球などの動態についてフローサイトメトリーを用い評価し、miR-138を介した抗腫瘍免疫遺伝子調節による効果が考えられた。ウイルス療法においてはがん細胞への特異的な抗腫瘍免疫惹起効果も期待されているが、miR-138阻害された腫瘍においてはG47Δ投与により抗腫瘍免疫の相乗効果も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、マウスモデルにおけるmicroRNA制御によるG47Δウイルス療法増強効果を評価することができた。また、次年度に予定している核酸合成されたmicroRNA阻害剤であるS-TuD (Synthetic TuD)投与による併用実験のための投与手技、阻害効果の予備実験も終えており順調に実験が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究予定としては、より実臨床への応用を目的とし核酸合S-TuD (Synthetic TuD)投与、また当研究室で確立されているBACシステムを用いたG47Δへの遺伝子改変システムを用いて精製可能なG47Δ-TuD RNAを用いた併用実験を計画している。また、積極的に研究結果を発表することを目指す。研究計画の変更、遂行の課題に関しては、現在miR-138を中心に研究を行っており結果が得られているが、他の候補microRNAのマウスモデルでの実験に取り掛かかれていない。すでに実験系として確立できておりあわせ検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大に伴い、年度末に予定していた試薬の委託合成を見合わせたため予算に残額が生じたが引き続き次年度使用する予定である。
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