研究課題/領域番号 |
19K09476
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
棗田 学 新潟大学, 脳研究所, 助教 (00515728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近赤外線光線免疫療法 / NIR-PIT / ポドプラニン / 悪性神経膠腫 / 神経膠腫 / 膠芽腫 / 術注療法 |
研究実績の概要 |
悪性神経膠腫は予後不良な疾患であり、新規治療法の確立が急務である。可及的摘出及び放射線治療、テモゾロミド化学療法が標準治療行であるが、ほぼ全例で再発し、不良な転帰を迎える。術中の局所治療強化の方法として、近赤外線光線免疫療法(NIR-PIT)が期待されている。この方法は、腫瘍細胞に特異的に発現する表面抗原に対する抗体とIR700という光感受性物質の複合体を作成し、静脈内投与で脳腫瘍細胞に抗体を接着させ、摘出後に残存腫瘍細胞に対して近赤外線を照射することで細胞の破裂死を招くことができる新しい治療法で、EGFR増幅頭頸部癌やHER2陽性乳癌に対し、国内外て既に治験が始められているが、脳腫瘍に対する研究は少ない。そこで今回、我々は悪性神経膠腫の表面抗原であるポドプラニンを用いたNIR-PITの確立を目的とし、本研究を計画遂行している。 ポドプラニンを発現する2つの膠芽腫培養細胞株に対し、4種類のポドプラニン抗体を用いたフローサイトメトリーで、何れも強い抗原抗体反応を確認した。また、in vitroでNIR-PITを行った所、細胞が破裂死する姿を捉えることが出来た。また、表面抗原L1CAMを発現する退形成性上衣腫細胞株を樹立し、L1CAM抗体のフローサイトメトリー、in vivoにおけるL1CAM NIR-PITにも成功した。 今年度行ったin vitroの研究は期待通りの結果となり、来年度から予定しているin vivoの研究に繋がるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitroの研究は順調に進め、in vivoの研究を開始する予定であったが、コロナウイルスの影響で開始が遅れている。しかしながら、2019年度に行う予定であった項目は大体終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ヌードマウスに対して両側に皮下腫瘍を移植した後にtail veinよりポドプラニン-IR700を投与し、片側に近赤外線を照射、もう片側は照射しない。解剖を行い、病理学的にNIR-PITの有効性を評価する。それが成功したら、次に頭蓋内移植モデルでのNIR-PITの効果を評価する。
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