研究課題/領域番号 |
19K09482
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
濱 聖司 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (40397980)
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研究分担者 |
星 正治 広島大学, 平和センター, 名誉教授 (50099090)
切畑 光統 大阪府立大学, 研究推進機構, 特認教授 (60128767)
栗栖 薫 広島大学, 医系科学研究科(医), 名誉教授 (70201473)
青木 一教 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60270675)
遠藤 暁 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90243609)
黒澤 真城 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (10462681)
服部 能英 大阪府立大学, 研究推進機構, 特認講師 (50514460)
齋藤 太一 東京女子医科大学, 医学部, 特任講師 (40457247)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中性子捕捉療法 / アデノウイルスベクター / ホウ素修飾 / 悪性グリオーマ / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、細胞選択的照射が可能な唯一の放射線治療法であり、腫瘍集積性の高いホウ素化合物の開発が重要な鍵となる。本研究は、ホウ素化合物のドラッグデリバリーシステム(DDS)としてアデノウイルスベクターを利用した、新たなBNCT治療法の効果を検 証する。 これまでにアデノウイルスベクター表面をホウ素修飾させる化合物の合成に成功している。前年度までの研究ではアデノウイルスベクターの表面にホウ素化合物が結合しているかどうかの確認が行えていなかった。そこで、化学修飾したアデノウイルスベクターのみのホウ素(B10)を定量することとした。㈱島津テクノリサーチに依頼してマイクロウェーブ分解―ICP質量分析法にて解析を行ったところ、アデノウイルスベクター表面に十分量の化合物が結合していることは確認できなかった。アデノウイルスベクターとホウ素化合物との反応条件を変更する必要があり、次年度には反応条件の検討に入る予定である。そして、ホウ素化合物のアデノウイルスベクターへの結合が確認されれば、ホウ素修飾アデノウイルスベクターを悪性グリオーマ培養細胞に感染させてホウ素の定量などの実験に進む予定である。 また、大阪大学核物理研究センターの加速器を用いて悪性グリオーマ培養細胞に対して中性子照射実験も行っていた。しかし、大阪大学の中性子加速器はメンテナンス作業に入っていること、そして、その後は新型コロナウイルス感染症の蔓延によって県境をまたぐ移動が制限されていることから追加実験は行えていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ホウ素化合物とアデノウイルスベクターが予定通りに結合していない可能性があり、反応条件の検討に入る必要があったため。本来であれば発生した問題を解決するために打ち合わせを行いたいところであるが、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって移動自粛となっていることで困難であったため。 また、大阪大学核物理学研究センターで行う予定であった中性子照射実験についても、中性子加速器のメンテナンス作業の遅延と新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う移動自粛などが重なったために行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
アデノウイルスベクターの表面にホウ素化合物を化学修飾する条件設定を行い、再度、㈱島津テクノリサーチに依頼してアデノウイルスベクターのみのホウ素(B10)を定量する予定としている。結合が確認されればホウ素修飾アデノウイルスベクターを悪性グリオーマ培養細胞に感染させる実験に進む予定である。 また、大阪大学での中性子照射実験の再開も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
ホウ素化合物のアデノウイルスベクター表面修飾が予定通り進まなかったことと新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う県境を越える移動の自粛などが加わったため、次年度使用額が生じた。今後は、ホウ素化合物をアデノウイルスベクターに結合したことを確認するためのホウ素(B10)定量、悪性グリオーマ培養細胞への感染実験、大阪大学での中性子照射実験、英語論文の作成・投稿に使用する予定である。
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