研究課題/領域番号 |
19K09485
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
篠島 直樹 熊本大学, 病院, 講師 (50648269)
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研究分担者 |
市村 幸一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40231146)
田崎 雅義 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (50613402)
武笠 晃丈 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90463869)
藤本 健二 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (70844413)
大田 和貴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60794469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ポリグルタミル化 / 悪性脳腫瘍 / エピジェネティクス制御 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ポリグルタミル化制御の分子機構を明らかにし、悪性脳腫瘍におけるポリグルタミル化制御を基盤とした新規治療法を開発することである。これまで以下の計画に沿って研究を遂行してきた。 【ポリグルタミル化制御の分子機構の解明】ポリグルタミル化制御にエピジェネティクスが関与していることをヒト由来リンパ腫細胞株とエピジェネティクス制御化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤)を用いた系で検証した。各種HDAC阻害剤で細胞を処理すると、ポリグ ルタミル化誘導酵素のFolylpoly-gamma-glutamate synthetase (FPGS)が上昇し、脱ポリグルタミル化酵素のgamma-glutamyl hydrolase (GGH)の発現が減少していた。また細胞をメソトレキセート(MTX)とHDAC阻害剤で処理するとポリグルタミル化MTXの増加が確認された。従ってポリグルタミル化制御にエピジェネティクスが関与している可能性が強く示唆された。 【ポリグルタミル化制御を基盤とした新規治療法の開発】MTXとHDAC阻害剤を併用しMTXのポリグルタミル化を誘導した場合の抗腫瘍効果をin vitroで検証したところ併用による抗腫瘍効果の増強が確認された。さらにヌードマウスを用いたヒト由来リンパ腫細胞株の皮下及び脳移植モデルを用いたin vivoでの検証でもMTXとHDAC阻害剤併用による抗腫瘍効果の増強が確認された。今後は臨床試験に向けた準備を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記結果を英文雑誌に投稿し受理された。以上よりおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
エピジェネティクスが関与するポリグルタミル化制御の分子機構を解明する。共同研究施設ですでに網羅的遺伝子解析とメチル化解析が行われた中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)の臨床サンプルを用いポリグルタミル解析を行いポリグルタミル化に関与する遺伝子を絞り込む。培養細胞をHDAC阻害剤で処理し、処理前後で絞り込んだ遺伝子の発現変化を調べ、ポリグルタミル化関連遺伝子を抽出する。逆に抽出した関連分子の阻害剤を用いポリグルタミル化が変化するか検証し、ポリグルタミル化を促進する薬剤を見出す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後の研究としてポリグルタミル化関連遺伝子抽出後、ポリグルタミル化を促進する阻害剤などの薬剤購入を予定しており、以上を2021年度分として請求した助成金と合わせ使用予定である。
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