研究実績の概要 |
以下、研究計画調書に記載した研究目的別に記載。 1)アルキル化剤治療後残存腫瘍の特性を解明することによる、神経膠腫の再発メカニズムの解明:アルキル化剤による化学療法による腫瘍縮小後に摘出された15症例の、化学療法前後での腫瘍標本を解析することにより、化学療法後の標本ではグリオーマ幹細胞率とM2マクロファージが増加していることを明らかにし、これらが化学療法耐性および再発に関与している可能性を国際誌にて報告した(J Neurooncol)。 2)形態学的乏突起膠腫の分子生物学的・臨床的特徴の解明:当施設において初回摘出手術が施行されたWHO grade 2, 3グリオーマ93症例を対象として、2名の神経病理医により形態学的特徴を再評価、形態学的乏突起膠腫と患者予後との関係を、IDH/1p19qに基づく3分子分類のそれぞれにおいて検討した。結果、形態学的な乏突起膠腫の診断あるいは特徴は、3分子分類のいずれにおいても独立した予後因子ではなく、1p19q共欠失の存在を示唆するsurrogate marker以上の意義が乏しい可能性を示し、国際誌にて報告した (Brain Tumor Pathol)。 3)CNVクラスター解析による神経膠腫の細分類と再発分子経路の解明:当施設において摘出手術が施行され、comparative genomic hybridization (CGH)が施行されたグリオーマ143症例を対象として、染色体540座位ごとに、gain, normal, lossに分類し、クラスタリング解析を行なった。結果、5群に分類され、特に1p19q共欠失腫瘍が2群に分類された。予後との相関も認められ、論文執筆に向け、検討中である。
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