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2021 年度 実施状況報告書

新たな嗅粘膜刺激電極を用いた嗅覚モニタリングおよび高次脳機能障害への治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K09493
研究機関久留米大学

研究代表者

坂田 清彦  久留米大学, 医学部, 講師 (90368936)

研究分担者 森岡 基浩  久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
小牧 哲  久留米大学, 医学部, 助教 (20597413)
折戸 公彦  久留米大学, 医学部, 講師 (50597408)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード嗅粘膜刺激電極 / 嗅神経刺激誘発電位 / 術中モニタリング / マグネット式留置型 / 匂い刺激電極
研究実績の概要

昨年度までの研究においては、術中モニタリングで使用するのに最適な嗅粘膜刺激電極の作成を中心に行ってきた。その結果、鼻腔内固定の問題から形状を片側鼻腔内バネ固定式から鼻中隔間マグネット固定式のものに変更し、試作品を複数回作成した。鼻腔内天蓋にかけてはスペースが狭くなっていくため、マグネット電極で鼻中隔を挟み込むように固定できたとしても、必ずしも嗅糸の存在する粘膜部分には容易に接触できない問題点もあり、
嗅神経の損傷リスクのある手術症例でこの電極を使用し、脳表電極を記録電極として刺激に応じたOEP(Olfactory evoked potential; N40 peak)測定を行うために術中に鼻腔内にこの電極を留置・固定した。しかしながらほぼ全例で、前頭葉においても側頭葉においても有意な波形を検出することができなかった。
嗅神経は末梢神経とは異なるため、通常の刺激方法ではなく刺激頻度や強度を様々に調整、また記録電極の検出方法も変えてOEPを検出するのに最適な条件も模索した。一度だけ疑わしい波形が検出されたものの、再現性は乏しいと判断した。
また、経鼻手術(Endonasal approach)と開頭手術(anterior interhemispheric approach)の合併同時手術症例においては、嗅覚障害のリスクがある上に、特別な操作を加えずとも経鼻側からリアルタイムに直接粘膜刺激が可能である。症例の希少性からなかなか実現困難であるが、貴重な機会として経鼻側から通常の刺激プローベを用いて随時刺激を行って前頭葉の波形を記録してみたが、様々な刺激条件においても再現性のある波形の記録は困難であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

嗅粘膜を直接電気刺激することで前頭部より検出されるOEPの存在を報告した過去の論文をエビデンスとして、実験計画を立てていたのであるが、今年度の実験結果を鑑みると、感覚受容体の一つである嗅粘膜においては、電気刺激では有意な嗅神経の反応を惹起できない可能性が示唆され、その信憑性に疑問が残る結果となってしまった。
一方近年で匂い刺激が脳の活動が惹起される論文が報告されているが、その実験内容からは嗅粘膜に対しては電気刺激ではなくやはり匂い刺激が重要だと思われる。
通常の電気刺激で嗅神経の神経活動が惹起困難となれば実験内容の大幅な見直しが迫られる。

今後の研究の推進方策

嗅神経刺激誘発電位を惹起するための嗅粘膜刺激方法を、研究計画にある従来の電気刺激に加え、感覚としての匂い刺激も新たに用いて行う必要がある。
現在計画中であるが、鼻腔内で匂い刺激を間欠的に行えるデバイスを作成している。
電極留置による電気刺激に加え、鼻腔内に適切な匂い刺激を与えることで、前頭部領域からいわゆるOEPが検出可能か、両者の間でどのような違いがあるのかを明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

既知の基礎的事項として、嗅粘膜を適切に電気刺激すればその誘発電位が測定できるとされており、今回この実験を計画するにあたっては、いかにその刺激電極を鼻腔内に安全かつ容易に留置させることが可能かどうかを研究の中心においていた。
術中直視下で直接嗅粘膜を電気刺激しても再現性のある誘発電位の測定が困難であることはnegative dataとなってしまったが、一方で誘発電位を測定するための適切な刺激方法が何かを含め再計画する必要があり、次年度に行うこととした。

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公開日: 2022-12-28  

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