研究課題/領域番号 |
19K09508
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
菱川 朋人 岡山大学, 大学病院, 講師 (60509610)
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研究分担者 |
平松 匡文 岡山大学, 大学病院, 助教 (50771953)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | くも膜下出血 / 脱分極 / グルタミン酸 / 低体温 |
研究実績の概要 |
60分間の膜電位、頭蓋内圧、脳血流量、細胞外グルタミン酸濃度を観察した。また24時間後に神経学的、組織学的な評価を行った。注入量は0.34±0.03ml、頭蓋内圧のピーク値は84.9±6.4mmHgであった。脱分極は88.9%に生じ、脱分極時間の中央値は630 (185-2220)秒だった。44.4%で20分以上脱分極を認めた。脱分極時間、頭蓋内圧のピーク値、60分後の脳血流は有意に細胞外グルタミン酸濃度と相関した。脱分極時間と細胞外グルタミン酸濃度は有意に神経学的スコアの悪化および、組織学的神経障害度と相関し、50%の神経障害を起こす脱分極時間は16.5分、細胞外グルタミン酸濃度は146μmol/Lであった。脱分極時間が20分未満の群と比較すると、脱分極が20分以上の群ではグルタミン酸濃度は注入10分後より上昇し始め、14分後以降で有意差を認めた。脱分極の遷延、細胞外グルタミン酸濃度の上昇は早期脳障害の重要な要因と考えられた。また、細胞外グルタミン酸濃度の上昇には遅れがあり、治療のtime windowとなる可能性が示唆された。 次に咽頭冷却法を用いて早期脳障害に対する脳低温療法の効果を検討した。上記の自己血注入モデルを用い、脱分極を確認した後に4℃の冷却水を鼻腔より灌流し、脳低温療法を行った。注入量は0.36±0.04ml、頭蓋内圧のピーク値は90.5±4.5mmHgであった。脱分極は100%に生じ、脱分極時間の中央値は210 (150-1650)秒であった。28.6%で20分以上の脱分極を認めた。硬膜外温は平均7分で30℃に達した。平温群と比較して、細胞外グルタミン酸濃度のピーク値は抑制され (200.1 vs 26.2μmol/L)、神経障害度も低かった (50.9 vs 22.7%)。脳低温療法はくも膜下出血後早期脳障害の抑制に有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り実験が進められ、有意な結果も得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
脱分極時間、細胞外グルタミン酸濃度と神経学的スコアや組織学的神経障害度との相関が証明され、脳低温療法のグルタミン酸抑制を介した脳保護効果が示された。臨床の観点からは発症から脳低体温介入までの時間が重要であり、いわゆるtherapeutic time windowの設定が次の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、物品費(消耗品費)において、予定額よりも安価に購入ができたために次年度への使用額が生じた。繰越額は物品費(消耗品費)に引き続き充てる予定である。
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