研究課題
実験1として、全身麻酔下に環椎後頭間膜より自己血を頭蓋内圧が1分間80mmHgに維持されるように注入しくも膜下出血モデルを作成した (N=9)。脱分極時間と細胞外グルタミン酸濃度について、神経障害度との関係をprobit解析で評価した。また、注入後60分間の膜電位、平均血圧、頭蓋内圧、脳灌流圧、脳血流量、細胞外グルタミン酸濃度を観察し、脱分極が20分以上の群と20分未満の群に分けて比較を行った。脱分極は88.9%に生じ、20分以上の脱分極を44.4%で認めた。脱分極時間と細胞外グルタミン酸濃度は有意に組織学的な神経障害度と相関し、50%の神経障害を起こす脱分極時間は16.5分、細胞外グルタミン酸濃度は146μmol/Lであった。20分以上脱分極を起こした群では、20分未満の群と比較して10分後の脳血流量が有意に低く、20分以降で有意に細胞外グルタミン酸濃度が上昇した。実験2として、咽頭冷却法を用いて早期脳障害に対する脳低温療法の効果を検討した。上記の自己血注入モデルを用い、脱分極を確認した後に4℃の冷却水を鼻腔より灌流し、脳低温療法を行った (N=7)。脱分極は100%に生じ、20分以上の脱分極は28.6%に留まった。硬膜外温は平均7.0分で30℃に達した。低体温群では平温群と比較して、10分後以降で脳灌流圧が有意に改善し、細胞外グルタミン酸濃度の上昇は抑制された (200.1 vs 26.2μmol/L)。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り実験が進められ、有意な結果も得られているため。
脱分極時間と細胞外グルタミン酸濃度について神経障害度との関連について並びに脳低温療法の細胞外グルタミン酸抑制効果に関する知見を中心に論文を作成し、現在投稿直前の段階である。
令和2年度は、物品費(消耗品費)において、予定額よりも安価に購入ができたために次年度への使用額が生じた。繰越額は物品費(消耗品費)に引き続き充てる予定である。
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