研究課題
[具体的な内容]①活性化ミクログリアのM2からM1への極性転換における亜鉛イオンの役割を検討するため、M2誘導薬であるIL-4を塩化亜鉛と同時にマウス由来ミクログリア細胞株のBV2に添加し、18時間後に細胞洗浄しM1誘導薬であるリポ多糖を添加して極性転換を誘導した。極性転換後の培養液中の炎症性サイトカイン(IL-6)産生量をELISA法で検討したところ、M1へ誘導することで惹起されるIL-6量の増加が塩化亜鉛前処置により抑制された。②IL-4処置後のBV2における亜鉛イオンの輸送担体であるZIP1の発現変化についてリアルタイムPCR法並びに免疫染色法により検討したところ、IL-4処置12時間後に発現が増加していた。そこで、ZIP12発現をsiRNAによって阻止し、①と同様の検討を行った。その結果、塩化亜鉛前処置によって惹起される極性転換後のIL-6産生量の抑制が阻止された。[意義・重要性]脳卒中後の認知症や気分障害は早急な対応が必要である。このような後遺症の発症や重篤化にミクログリアの活性化やそれによるアストロサイトの機能制御が関与していることが指摘されている。一方、げっ歯類の検討から脳虚血後の脳内で活性化ミクログリアはM2からM1へ極性転換することが報告された。しかし、この極性転換に対する亜鉛イオンの効果は不明である。今回の我々の知見は、M2ミクログリアのZIP12を介して亜鉛イオンが細胞内に輸送され、これによってM1への極性転換を抑制することを示唆しており、これは未だ存在しない脳卒中後遺症の予防法・治療法の開発に繋がる意義深い重要な知見である。
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