研究実績の概要 |
(1)嗅覚障害モデル樹立:C57BL/6J 雄8週齢を開頭手術。A) 両側嗅球破壊モデル(bulbectomy)は、永続モデル作成(n=20, 死亡率=8/20)。嗅球線維の離断(メスで切開)のみでは、軽微な障害で数週で自然回復(n=6, 死亡率=0/6)。B) 一側外側嗅条(LOT: lateral olfactory tract)切断+対側bulbectomyモデルは、嗅球から離れた遠位端では嗅覚障害は起きず(n=6, 死亡率=0/6)、嗅球に近い近位側では一過性の嗅覚障害で時系列で改善(n=20, 死亡率=6/20)。C) 両測LOT切断モデルは、手術時間はかかるが適切な切断位置(嗅球近位側)で、一過性中等度の嗅覚障害モデルを作成(n=20, 死亡率=8/20)。嗅覚評価には、buried food testを用いた。 (2)嗅覚再生:DuraGenを基質とし、A)に充填した(microgliaのM2分化誘導のIL-4含有+/-も併用)が、再生なし(n=4 each)。B)やC)に、IL-4誘導のメラトニンを腹腔投与(10mg/kg)したが改善なし(n=4 each, p>0.05)。凍結切片でLOT切断部位近傍にIba-1陽性のmicroglia集簇を確認。またBrdU腹腔注2日後で、正常ではolfactory bulbへの集積は確認されるが、切断モデルでは集簇ないことを確認した。 (3)培養系細胞:胎児および生後2日、また8週齢大脳皮質から、脳室周囲の神経(neural stem cell)およびmicrogliaを単離、培養。初代培養は成功したが、継代では死細胞率が多く共培養系を構築中である。DuraGenとの3次元培養が確立次第、LOT modelへ投与し、神経再生効果を確認していく。 本科研費研究期間内では嗅神経再生までいかず、嗅神経切断モデル樹立にとどまった。
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