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2019 年度 実施状況報告書

中枢神経系原発悪性リンパ腫の診断・治療に関するバイオマーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K09514
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

三島 一彦  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00282640)

研究分担者 落谷 孝広  東京医科大学, 医学部, 教授 (60192530)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードPrimary CNS lymphoma / biomarker / reduced folate carrier / prognosis
研究実績の概要

高齢者中枢神経系原発悪性リンパ腫 (ePCNSL) は極めて予後不良な悪性脳腫瘍であり、標準治療として行われる大量MTX(HD-MTX)基盤化学療法と全脳照射では遅発性神経障害を高率にきたす。また導入化学療法で一旦完全奏効を得ることができてもすぐに再発する傾向がある。そのため新たな治療法の開発が必要である。我々はePCNSLに対し導入免疫化学療法後、完全奏効(CR)例には維持化学療法を行い照射は回避する治療戦略をとっている。すなわちePCNSL例に対し、導入免疫化学療法として、Rituximab(375mg/m2)とHD-MTX(3.5g/m2)(RIT-HD-MTX療法)を2週毎に6サイクル投与後、奏効例には1ヵ月毎にRIT-HD-MTXによる地固め療法を2サイクル行い、CR例にはHD-MTXを維持療法として2-3ヵ月毎に2年間を目標に投与するものである。導入及び地固め療法で部分奏効(PR)例には定位照射、temozolomideを、増悪(PD)例は全脳照射を行なってきた。これまで全42例(年齢中央値は74歳 (66-84))のePCNSLに対して本方法で治療を行い、MRIで腫瘍縮小を効果判定できた40例中、CR: 24例 (60%)、PR: 8例 (20%)、SD: 2例 (5 %)、PD: 6例(15 %)で、奏効割合は80%であった。また無増悪生存期間中央値(mPFS)は24.6ヵ月、全生存期間中央値(mOS)は27ヵ月であった。基底核、脳室周囲、小脳脳幹などの深部に腫瘍が存在する症例では予後不良な傾向があった。MTXの腫瘍細胞内への取り込みに必要なreduced folate carrier(RFC)の発現を免疫組織染色で検討した結果、RFCの発現がみられる症例では予後良好な傾向にあった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高齢者PCNSL症例に対しHD-MTXを基盤とする初期治療とHD-MTXによる維持化学療法での治療成績を明らかにすることができた。MTXの薬剤感受性の関わると考えられるreduced folate carrier(RFC)遺伝子の発現に関しては免疫組織化学染色で検討できた。

今後の研究の推進方策

MyD88の遺伝子変異(L265P)についてデジタルPCRの手法を用いて微量な変異発現を検出可能にする予定である。PCNSL患者血液血中マイクロRNAを抽出しており、今後網羅的に解析することでPCNSL特異的に発現するマイクロRNAを検出し、診断マーカーとなりうるかを検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

MyD88やCD79Bの変異を検出するために、当初サンガーシーケンス法を使用する予定であったが、微量な変異は検出できないことがわかり、微量変異も検出できるデジタルPCRの系を立ち上げる必要が生じた。そのためサンガーシーケンス法に使用予定の必要経費は中止し、デジタルPCRに必要な経費を次年度分として使用する計画とした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 初発高齢者中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する治療:維持化学療法の意義2019

    • 著者名/発表者名
      三島一彦、白畑充章、鈴木智成、安達淳一、西川 亮
    • 学会等名
      日本脳神経外科学会第78回学術集会
  • [学会発表] 初発高齢者中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する維持化学療法の意義2019

    • 著者名/発表者名
      三島一彦、白畑充章、鈴木智成、安達淳一、西川 亮
    • 学会等名
      第37回日本脳腫瘍学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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