今日では精度の高い脳手術を行うためにナビゲーションシステムが普及しているが、拡張現実型ナビゲーションの応用は発展途上の段階にある。他方で、国内外の各社より外視鏡(exoscope)が開発され、従来の手術顕微鏡における接眼レンズを覗いての操作に代わり3次元モニターを 利用した手術操作が可能になった。これらを組み合わせ、脳内の構造物を外視鏡のモニター上に表示させることにより体内の構造があたかも「透けて」見えるようにする拡張現実による新規手術ナビゲーションの開発を計画した。これにより、迅速かつ正確に脳病変の部位を同定し手術の精度を向上させることを目的とする。 画像処理を行うワークステーションtrans-visible navigatorのうち、当初予定していた予算が削減された影響により購入はモーションキャプチャーカメラ部分にとどまった。外視鏡メーカーについても研究の計画段階より購入の交渉を進め、三鷹光器社のHawkSightを購入するに至った。これにナビゲーションのための光学マーカーを設置した。ファントムを用いた誤差測定に向けてソフト面、ハード面での調整を行った。が、外視鏡にて焦点を合わせる際のレンズの移動にワークステーションtrans-visible navigator側の対応に難航し、研究期間の終了に至った。 この間、関連する研究内容について論文発表および学会発表を行った。
|