研究実績の概要 |
MR スペクトロスコピー (MR spectroscopy, MRS) 解析ソフトである LCModelを搭載するPC一式を2019年年7月29日新潟大学脳研究所 第43共同研究室に設置、動作確認後検収手続きを完了した。 研究計画では年2名程度の髄芽腫を予想したが、新患4名(8歳女、8歳男9歳女、14歳男)と再発患者1名(初発20歳男、今回再発時25歳)の MR スペクトロスコピー(TE 35ms, 97ms) 解析を行った(1例で TE 97 ms撮像できず)。この間髄芽腫と鑑別が必要な脳幹神経膠腫1名(9歳男)のMRS (TE 35ms, 97ms) 解析を行った髄芽腫新患4例では全脳全脊髄照射+化学療法で再発なく、再発1例では摘出術が行われ、全例生存している。 髄芽腫の特徴的 MR スペクトロスコピー所見として、N-acetylaspartate (NAA) の著明な低下、lactate (Lac) と lipid (Lip), macromolecule (MM)の増加、taurine (Tau) の出現が知られている(Panigrahy A, et al. AjNR 27:560-572,2006)。新患髄芽腫4例では NAA の著明な低下、Lac, Lip+MM の増加、Tau検出が確認され、myo-inosytol (Ins)/Crの上昇が見られた。コントロールとの対比でglutamine (Gln)/creatine (Cr) 上昇は4例全例で、glutamate (Glu)/Cr上昇は髄芽腫2例で認められた。2-hydroxyglutarate (2HG) は2例で僅かに検出された。 脳幹神経膠腫ではTauは検出されないが、NAAの低下、Lac, Lip+MM の増加、Ins/Cr 上昇、Glu/Cr上昇が認められ、2HG は検出されなかった。
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