研究実績の概要 |
肺癌脳転移に対するStem cells from human exfoliated deciduous teeth: SHEDを用いた自殺遺伝子療法の治療実験として、ルシフェラーゼを発現する肺癌細胞株(H1299)を移植したヌードマウスを作成し、HSV-TKを発現したSHEDを腫瘍内投与して翌日からガンシクロビルを投与する実験を行った。SHED-TKの有無およびガンシクロビルの投与の有無から4群に分け、経過中の発光および生存期間を比較した。 コントロールの3群では40-50日程度で腫瘍増大による死亡が見られたが治療群の生存期間中央値は135日と有意な延長を認めた。 また、肺癌脳転移病変に対するSHED-TKの遊走を観察する実験として、肺癌脳転移モデルの対側脳にGFPを発現するSHED-TKを移植して1週間後に脳切片を作成して観察したところ、腫瘍周囲にGFPの発光を認め、SHED-TKが肺癌病変に遊走していることが観察できた。 前年度までに変異を導入したHSV-TKは安全にSHEDに導入することがわかったが、これを証明するためにwild-typeのTKとmodified TKを導入したSHEDのviabilityおよびcaspase-3/7の発現を比較し、導入における最適条件を検討した。wild-type TK、modified-TK, GFPをレンチウイルスを用いて導入し、導入効率、TKの発現およびbiabilityとcaspase3/7の発現を比較した。MOI=2MOI=2,4,6の全ての条件でwild-typeはmodified TKに比べてviabilityの低下とcaspase-3/7発現の上昇が見られたことから、modified TKはwild-type TKよりSHEDに対して安全であるとの結果であった。また、最適なMOIは4であった。
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