げっ歯類を用いた脳動脈瘤モデルは確立されているが、霊長類を用いた脳動脈瘤モデルは未だ確立されていない。霊長類脳動脈瘤モデルを確立できれば、脳動脈瘤の病態解析が進み、創薬など新規治療法の開発が期待できる。 本研究では、当施設で飼育されているメスカニクイザルを用いて霊長類脳動脈瘤モデルの確立・ 完成させることを主たる目的とした。モデル作成のためには、まずカニクイザルの脳血管解剖の詳細を明らかにする必要があるが、霊長類の脳血管解剖についての文献報告は少なく、今回我々がモデル動物としたカニクイザルの脳血管解剖についての文献は狩猟した限り確認できなかった。本研究を行う上で、カニクイザルの脳血管構造についての情報は必須であり、カニクイザルの屍体脳から採取した脳血管を用いて脳血管解剖についての解析をまず行うこととした。また、並行してカニクイザル脳動脈瘤モデルの作成も開始した。腎動脈狭窄術による高血圧の誘導、後方循環血流増大を期待して段階的に両側頚動脈結紮を行うことで脳動脈瘤モデルを作成した。その後は定期的な血圧のモニタリングとMRIを用いて画像経過観察を継続した。 カニクイザル脳血管解剖に関する論文を執筆、雑誌「Experimental Animals」に掲載が決定された。カニクイザル脳動脈瘤モデルについては、動物を安楽死後、脳血管を採取し、確認された脳動脈瘤の組織学的評価を行った。血圧、画像、組織学的評価のデータを集積・解析し今後論文執筆を予定している。
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