研究課題/領域番号 |
19K09528
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
安原 隆雄 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (50457214)
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研究分担者 |
黒住 和彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20509608)
亀田 雅博 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50586427)
菱川 朋人 岡山大学, 大学病院, 講師 (60509610)
佐々木 達也 岡山大学, 大学病院, 助教 (80790865)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | うつ様症状 / 骨髄由来幹細胞 / 神経新生 / 脳血流評価 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
本研究はヒト間葉系幹細胞由来多能性幹細胞 (hMPSC: human-derived multipotent stem cell) を脳内移植することにより、一過性中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルラットがどのような治療効果をうけるかを示すことである。特にカプセル化細胞移植と直接移植の治療効果の差異を示すことや心理学的な効果を調べることが研究の特徴である。 研究実績として、2019年度に行う予定であった研究を行うことができたと評価できる。 脳梗塞モデル作製はおよそ70%の確率で安定して実験に供することができるレベルである。直接細胞移植およびカプセル化細胞移植についても手技は安定した。生体内で移植細胞は少数ながら、1週間後に生存細胞を認めたが、多くは生着しなかった。一方で、カプセル化細胞移植では2週間後にも生存細胞を多数認め、直接細胞移植よりも長期間生存することは明らかであった。脳梗塞モデルにおける脳血流評価を行い論文化した(Nishihiro S, et al. Neuromolecular Med 2019)。運動機能と梗塞巣体積については、移植群において、対照群より改善が得られたが、これまでのところ、カプセル化細胞移植群で、より高い治療効果が得られている。うつ様症状についても行動学的評価を行っているが、関連先行研究として、うつ病モデルラットに対する薬物治療と神経新生について研究をまとめた。(Kin K, et al. Brain Res 2019)。研究の進捗は順調であり、2020年度も予定通りの研究成果を報告できる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に行う予定であった研究を行うことができたと評価できる理由を下記する。 1.脳梗塞モデル作製の確立:脳梗塞モデル作製はおよそ70%の確率で安定して実験に供することができるレベルである。2.移植手技の確立:直接細胞移植およびカプセル化細胞移植についても手技は安定した。生体内で移植細胞は少数ながら、1週間後に生存細胞を認めたが、多くは生着しなかった。一方で、カプセル化細胞移植では2週間後にも生存細胞を多数認め、直接細胞移植よりも長期間生存することは明らかであった。3.脳血流評価の実施:脳梗塞モデルにおける脳血流評価を行い論文化した(Nishihiro S, et al. Neuromolecular Med 2019)。4.行動学的・組織学的評価の実施:運動機能と梗塞巣体積については、移植群において、対照群より改善が得られたが、これまでのところ、カプセル化細胞移植群で、より高い治療効果が得られている。5.心理学的評価:うつ様症状についても評価を行っているが、関連先行研究として、うつ病モデルラットに対する薬物治療と神経新生について研究をまとめた。(Kin K, et al. Brain Res 2019)。 総じて、研究の進捗は順調であり、2020年度も予定通りの研究成果を報告できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、研究計画作成時と変更はない。 すなわち、ここまでに確立した手技をもとにして、2020年度は、神経新生および組織学的評価をさらに進める。カプセル化細胞移植群において、脳梗塞に対する神経保護効果および神経新生効果を示すことができる見込みである。また、治療効果のメカニズムだと推測される栄養因子についても検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、物品費(消耗品費)において、予定額よりも安価に購入ができたために次年度への使用額が生じた。繰越額は物品費(消耗品費)に引き続き充てる予定である。
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