研究課題
本研究はヒト間葉系幹細胞由来多能性幹細胞 (hMPSC: human-derived multipotent stem cell) を脳内移植することにより、一過性中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルラットがどのような治療効果をうけるかを示すことである。特にカプセル化細胞移植と直接移植の治療効果の差異を示すことや心理学的な効果を調べることが研究の特徴である。研究実績として、2020年度に行う予定であった研究を行うことができたと評価できる。うつ様症状を呈するWistar Kyoto Ratに対して、脳室内にカプセル化細胞移植を行うと、有意な行動学的改善が得られ、神経新生が増幅されていた。特に、様々な神経栄養因子の分泌および、そのシグナルパスウェイが活性化していることを示すことができた(Kin K. et al. Mol Psychiatry 2020)。脳梗塞モデルラットに対するカプセル化細胞移植の治療効果が行動学的に示され、神経新生との関係性も示されつつある。今後、個体ごとの生着細胞、行動学的改善、脳梗塞体積、神経新生の程度 などの相関性を明らかにし、うつ様行動に与える影響を検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
うつ様行動を呈するWistar Kyoto Ratに対するカプセル化細胞移植により、強い治療効果を示すことができ、また、そのメカニズムにも迫ることができた。同時に、脳梗塞に対するカプセル化細胞移植による行動学的、組織学的改善や、神経新生の増強効果も示されつつあり、順調に研究が進むならば、研究期間の最終年にあたる今年度には、さらなる研究成果の論文化も行える可能性が高いと考えるので。
研究計画立案時から大きくは変わらず、研究を推進していく。現在行っている、脳梗塞に対するカプセル化ヒト間葉系幹細胞由来多能性幹細胞移植の研究データをまとめて、学会発表や論文発表を確実に行う。個体ごとの、行動学的評価ー脳梗塞体積ー神経新生の程度ー移植細胞生着 などの関係性を詳細に検討し、何が治療効果において強い影響を与えるかを明らかにする。
令和2年度は、物品費(消耗品費)において、予定額よりも安価に購入ができたために次年度への使用額が生じた。繰越額は物品費(消耗品費)に引き続き充てる予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 2件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (47件) (うち国際学会 2件)
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