研究課題/領域番号 |
19K09537
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60398807)
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研究分担者 |
糟谷 英俊 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50169455)
恩田 英明 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60185692)
米山 琢 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90318105) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | もやもや病 / 類もやもや病 / 感受性遺伝子 / 遺伝的修飾因子 |
研究実績の概要 |
我々は、未だ不明な点が多いもやもや病の病態を理解するため、新たな感受性遺伝子を探索してきた。主要な感受性遺伝子RNF213に異常を持たない患者サンプルを丹念に検索・蓄積していきながら、全エクソームシーケンシング(WES)による網羅的解析を行った。並行して、単一遺伝性疾患に合併した類もやもや病患者についても、WESを実施した。類もやもや病を来す遺伝性疾患としてはDown症や神経線維腫症1型(NF1)が良く知られるが、必ずしも多くの症例で合併するわけではない。もやもやの成因は多因子遺伝によるため、類もやもや病の合併に関わる遺伝的修飾因子(modifier)の存在も明らかにされつつある。このようなmodifier遺伝子の特定も遺伝学的な病態機序の解明に有用な知見となる。これまでに、神経線維腫症1型、ヌーナン症候群、ダウン症、サラセミア、多臓器平滑筋機能障害症候群に合併した類もやもや病患者計11例で原疾患の遺伝子異常(点変異および構造変異)を特定した。modifier遺伝子バリアントとしては、NF1患者1例からRNF213 p.R4810Kが検出されたほか、既報modifier遺伝子であるMRVI1の非同義置換もDown症患者1例から検出された。その他にも、肺動脈性肺高血圧症の疾患遺伝子ABCC8の機能喪失型変異や、心血管異常を来すRASopathy遺伝子群の非同義置換など、11例中7例から有望なmodifier候補遺伝子バリアントが検出された。このように、もやもやの背景にある複雑な多因子構造が、類もやもや病の解析からも明らかになった。ABCC8に代表されるこれらのmodifier遺伝子は、もやもやの新規感受性候補遺伝子とも考えられるため、RNF213遺伝子に異常を持たない患者サンプルでの検証を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
類もやもや病の網羅的解析に関する論文報告を完了する予定であったが、次年度にずれ込んでしまった。
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今後の研究の推進方策 |
類もやもや病の網羅的解析に関する論文報告を完了する。もやもや病および類もやもや病の解析で特定した新規感受性遺伝子について、病態との関連の検証作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿が次年度にずれ込んだことと、中途の実験があったため。論文投稿に関する諸経費や追加実験に使用。
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