研究課題/領域番号 |
19K09540
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
大野 誠 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (70598648)
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研究分担者 |
久保 優子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (00815566)
里見 介史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (10633977)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | APT imaging / MRI / 脳腫瘍 / 悪性神経膠腫 / 転移性脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
Amide proton transfer (APT) imaging はタンパクに含まれるアミド基(-NH)のプロトンを検出する新たな分子imaging法で、生体内の可動性タンパクやアミノ酸を反映することにより血液脳関門の破綻を反映する造影Magnetic resonance imaging (MRI)よりも直接的な腫瘍の機能・代謝評価が可能と考え、APT imagingの臨床的有用性を明らかにすることを目的として本研究を開始した。 本年度行ったことは以下の3つである。 ①「Amide proton transfer imagingの悪性脳腫瘍もしくは脊髄腫瘍の診断および治療効果判定における有用性の評価に関する研究」の課題名(研究課題番号:2017-157)に則り2017年11月1日から2019年2月15日まで50例の患者登録を行った。患者登録終了後に登録症例の病理診断、治療経過、画像情報を含めた症例報告書をまとめてデータベースを作成した。 ②悪性神経膠腫および転移性脳腫瘍例について、病変内のAPT imagingの最大値(APT max)と平均値(APT mean)と拡散強調画像のapparent diffusion coefficient (ADC)の最小値(ADC min)と平均値(ADC mean)を算出し相関関係を検討した。悪性神経膠腫におけるAPT maxとADC meanの相関係数は-0.24で転移性脳腫瘍におけるAPT maxとADC meanの相関係数は-0.39であった。悪性神経膠腫および転移性脳腫瘍においてはAPT maxとADC meanにおいて弱いながらも相関関係がある可能性が考えられた。 ③WHO grade 4に分類されるDiffuse midline glioma, H3K27M mutationの2症例においてAPT値が正常脳よりも高信号を示していた。特に造影増強効果の乏しい症例においても高信号を示しており、腫瘍の悪性度を反映している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
登録症例の症例報告書をカルテより作成しデータベース化する作業に予想以上に時間がかかり達成度がやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
登録症例のデータベース化が終了しデータ解析を行う予定である。 当面の今後の予定は以下の3つを予定している。 ①摘出組織の細胞密度およびKi-67値とAPT値およびADC値の相関の検討 ②13例はメチオニンPETを施行しておりAPT imagingとメチオニンPET画像との比較検討を行う ③放射線化学療法後の治療経過・予後とAPT imagingとの相関の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会(Society of Neurooncology Annual meeting 2019)に参加するため費用が発生したがそれ以外本年度は既存のデータを用いたデータベース作成を主に行なったため費用が発生しなかった。 今後は手術検体を用いた免疫組織科学的検討を行うため抗体などの費用が発生すると考えている。
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