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2020 年度 実施状況報告書

次世代プロテオミクスによる神経膠芽腫浸潤・増殖関連タンパクとバイオマーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K09541
研究機関独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター)

研究代表者

中溝 玲  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳神経外科科長 (80529800)

研究分担者 天野 敏之  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳神経外科医長 (70448413)
松尾 諭  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳神経外科医師 (80734938)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードプロテオミクス / 神経膠芽腫 / 浸潤 / 増殖
研究実績の概要

本年度は、神経膠芽腫5症例より、術中5-ALAの発光や術前画像を参考に各症例につき4部位のsamplingを行い合計20サンプル、対照群として髄膜腫3症例より3サンプルについて、iMPAQT 法による代謝酵素 342 種と追加カスタム 10 成分の定量プロテオミクス解析を実施した。検出されたタンパク質は約 255 種類となっており、HeLa 細胞などの活発に増 殖する癌細胞と比較しても、検出タンパク質数はほぼ同等の数であった。
T 検定による 神経膠芽腫の 5-ALA negative 群と Positive 群 、髄膜腫の3 群間の有意差判定の結果、いずれかの群間で有意変動のあった因子は、有意水準1%で は 147 種、有意水準 0.1%では 63 種存在していた。その中でも特に顕著なタンパク質発現変動が起こっ ていたものとして ALDH2、PKM1、NT5E、ACTN2 などがあった。
ALDH2 は解糖系の酵素の一つであり、ワールブルグ効果が現れている可能性がある。PKM1は神経膠芽腫で高発現し髄膜腫で低発現となっているが、PKM1 の高発現は神経内分泌腫瘍 (NET)のような比較的悪性度が高く予後が悪い癌種において観測されることが報告されており、今回の結果も同様の可能性がある。NT5E は核酸合成系酵素で、癌化に伴い窒素源を積極的に DNA 合成に回し、 細胞増殖能が高まっていることが予測される。ACTN2 については、5-ALA_Negative で特徴的に高発現しており、正常脳組織を反映していると考えられた。PCA 解析やエンリッチメント 解析の結果から代謝経路の全体的な差を眺めると、神経膠芽腫は TCA サイクルや酸化的リン酸化の酵素群が高発現していることから、増殖よりもエ ネルギー産生に力を使っている事が判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおよそ予定通り解析が進行している。

今後の研究の推進方策

本年度の解析の結果より、tumor coreでは解糖系の亢進・好気的糖代謝(TCA cycle, ミトコンドリアの酸化的リン酸化)の低下、分枝鎖アミノ酸のアセチルCoAへの変換抑制/核酸・グルタミン酸合成やシグナル伝達への転用の促進が起きている一方、脂肪酸の合成・分解はさほど変動していないと考えられる。各サンプルの代謝パターンと病理学的検討により、tumor coreとinvasion frontの部位が正確に同定できる。次年度は、この手法により神経膠芽腫各症例2サンプルずつを抽出し、髄膜腫は各症例1サンプルずつの合計13サンプルにおいて、以下の項目を検討する。グルタミン酸合成放出に関するglioma生存・浸潤寄与分子、腫瘍細胞生存関連分子、ヒストン3のメチル化関連分子、浸潤能にかかわる18種類のタンパクについての解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

前年度の解析結果により確立した手法により、合計13サンプルにおいて、グルタミン酸合成放出に関するglioma生存・浸潤寄与分子、腫瘍細胞生存関連分子、ヒストン3のメチル化関連分子、浸潤能にかかわる18種類のタンパクについての解析を行う。

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公開日: 2021-12-27  

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