研究実績の概要 |
膠芽腫患者5例に対して開頭腫瘍摘出術を行い、病理学的に膠芽腫であることを確認した。術中のsamplingではneuronavigationを用いて増強される腫瘍かつ5- ALAで発光が見られる悪性度が高い部位、5-ALAで発光が見られない腫瘍から離れた部位、その中間の腫瘍が浸潤している部位に分けて採取した。 Positiveと正常脳に最も近いNegativeにおいて最も違いのある代謝経路の同定を行った。Pyrimidine synthesis pathwayとserine synthesis pathwayがNegativeと比較してPositiveで最もupregulateされているpathwayであった。Nucleotide synthesisに関与するenzymeの中では、NME1, RRM1, RRM2B, NT5C3 がNegativeと比較してPositiveで有意に発現が上昇していた。Serine synthetic pathwayでは、SHMT2とPSPHの発現が有意に上昇していたのに対して、その上流の酵素であるPSAT1はdownregulateしており、PHGDHの発現は Negativeとの有意な差は見られなかった。GSE16011 glioma patients datasetとTCGA glioblastoma patients datasetにおいてserine synthesis pathwayに関与する7つの遺伝子を用いてsurvival Analysisを行った。Serine synthesis pathwayの活性はいずれのdatasetにおいてもpoor outcomeに相関していた。これらの pathwayに関連する上記のenzymeは、膠芽腫に対する新たな治療戦略のターゲットとなる可能性が示唆された。
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